生成AIで作った作品に著作権はある?知っておくべき基本知識



この記事について
近年、ChatGPTなどの生成AIが急速に普及し、文章や画像を誰でも簡単に作れるようになりました。
とても便利な一方で、気になるのが著作権の問題です。
生成AIで作ったコンテンツに著作権はあるのでしょうか。
また、他人の著作物を学習したAIが生成したものを使っても問題ないのでしょうか。
今回は、生成AIと著作権の関係をわかりやすく解説します。
生成AIを安全に活用するために知っておくべき知識を身につけましょう!
このコラムは、私が監修しました!
教授和田 直史Wada Naofumi 知覚情報処理
子どもの頃、誰もが画用紙や原稿用紙を前に「何を描こうか」「何を書こうか」と頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか。「こんな絵が見たい!」「こんな物語が読みたい!」と、頭の中のイメージを言葉で伝えるだけで形にしてくれる。生成AIは、まるで魔法のような技術です。
生成AI技術の探求とは、まさに「機械がどうすれば人間のような創造性を獲得できるのか?」という、この魔法の核心に迫る試みでもあります。生成AIは、私たちの創造力を何倍にも増幅してくれる強力なパートナーです。
しかし、強力な力には、それを正しく使うための知識が必要です。つまり、著作権などのルールを正しく理解し、倫理観を身につける必要があります。そこで大事なのは、技術への理解と、他者の創作物へのリスペクトです。
ぜひ皆さんも、正しい知識を武器に、AIと共に新しい創造の扉を開いてみてください。
目次
著作権とは
著作権とは、創作したもの(著作物)を保護するために、それを作った人(著作者)に与えられる権利です。
著作権法では、著作物を「思想または感情を創作的に表現したもの」と定義しています。
具体的には、小説・論文といった文章、絵画やイラスト、写真、音楽、映画などが典型です。
著作権は、作品を作った瞬間に自動的に発生し、特別な手続きは必要ありません。
特許のように出願手続きは不要で、作品を作った人がそのまま著作者となります。
そして、著作権法により、著作者は自分の作品をコピーしたり、販売したり、インターネットで配信したりする権利が保証されています。
他の人がこれらの行為を行うには、原則として著作者の許可が必要です。
ただし、単なるデータや事実、ありふれた表現、作風や画風といったアイデアだけでは、著作物として認められません。
あくまでも「創作的な表現」があることが重要なポイントです。
著作権侵害が成立する条件
他人の著作物と似た作品を作ったからといって、すぐに著作権侵害になるわけではありません。
侵害が成立するには「類似性」と「依拠性」という2つの要素が必要です。
類似性
作品が既存の著作物と似ていることを指します。
単に作風が似ているだけでなく、その作品ならではの本質的な特徴を感じ取れる場合に類似性が認められます。
依拠性
作品が、既存の著作物を参考にして作ったことを意味します。
偶然似ただけなら依拠性はなく、著作権侵害にはなりません。
この2つが揃って初めて侵害が成立します。
つまり「よく似ている上に、参考にして作った」と認められた場合に著作権侵害が問題となるのです。
意図せず著作物に類似したものを出力してしまった場合の注意点
生成AIが作ったかどうかに関わらず、既存の作品に影響を受けていると判断される場合には著作権上の問題が生じる可能性があります。
例えば、生成AIの学習に既存の著作物が使われており、その既存の著作物とよく似た作品が出力されてしまうケースなどです。
出力されたものをそのまま公開したりはせず、類似性や依拠性がないか確認した上でAI生成物を活用しましょう。
北海道科学大学でもAI技術の研究が進められています。
今後のChatGPTの活用などについて、テレビ取材も受けました!
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生成AIで作った作品に著作権はある?
生成AIによる作品に著作権が発生するかは、人間の「創作意図」と「創作的寄与」の有無によるとされています。
AIは法的な人格を持たないため、著作者にはなれません。
そのため、AIが完全に自動で生成したコンテンツには著作権は発生しないとされています。
例えば、簡単な指示だけを与えてAIに文章や画像を作らせた場合、その成果物は著作物として認められない可能性が高くなります。
つまり、AIが作った作品を誰かに真似されても、著作権を主張できない場合があるということです。
一方で、人間が道具としてAIを活用し、明確な創作意図を持って詳細な指示を出した場合は、創作的寄与があるとして著作権が発生する可能性があります。
生成AIで作った作品が著作物として扱われる条件
創作意図と創作的寄与の有無は、以下の要素を総合的に判断して決められます。
- 指示(プロンプト)の詳細さと具体性
- 生成を繰り返した試行回数
- 複数の生成物からの選択過程
- 生成後の編集や修正の程度
詳細で具体的な指示を与え、何度も試行錯誤や編集・修正を重ねながら理想的な作品を作り上げた場合は、著作権が認められる可能性が高くなります。
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生成AIで作った作品で著作権を侵害したときの罰則とリスク

著作権侵害は決して軽く考えてはいけない問題です。
生成AIを利用して他人の権利を侵害した場合、民事上と刑事上の責任が発生する可能性があります。
現代は気軽にSNSで作品を多くの人に見てもらうことができます。
ですが、軽い気持ちで作品を公開する行為には注意が必要です。
民事上の責任
侵害作品の公開停止や削除を求められたり(差止請求)、得られた利益の返還や損害補償を求められたりする可能性があります。
AI生成物で多額の収益を得ていた場合や、元の著作物の知名度が高い場合は、高額な賠償金を支払うことになる可能性があります。
刑事罰
故意に著作権を侵害した場合は、刑事罰の対象となります。
著作権法違反の罰則は「10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金」と非常に重く、両方が科される場合もあります。
SNSなどで公開するリスク
生成AIで作った文章や画像は手軽にSNSなどに公開できますが、安易な投稿はトラブルのもとです。
公開した作品が、知らず知らずのうちに著作権侵害になってしまっていた場合、今までの信用が一度に失われてしまったり、あっという間に拡散され「炎上」してしまったりするリスクもあります。
また、生成AIは嘘をつくことがあります。
まるでAIが幻覚を見ているように、実際に存在しない情報や事実と異なる情報を出力してしまうことがあり、これを「ハルシネーション」と呼びます。
著作権侵害はもちろんのこと、生成AIを使って誤った情報を発信することも大きなトラブルに発展する可能性があります。
生成AIは、簡単にたくさんの作品を生み出せる手軽さはありますが、それと同じくらいのリスクもあります。
内容の確認や修正を徹底して、上手に生成AIを使いながらSNSを楽しみましょう。
生成AIと著作権の関係を正しく理解して安全に活用を
生成AIによる作品に著作権が発生するかは、人間がどの程度創作に関わったかによって決まります。
AIが完全に自動で生成したコンテンツには著作権は発生しませんが、人間が明確な創作意図を持ち、詳細な指示や編集を行った場合は著作権が認められる可能性があります。
一方で、生成AIが他人の著作物を学習して作ったコンテンツを利用する際は、既存の著作物との類似性と依拠性に注意が必要です。
著作権侵害が認められた場合は、差止請求や損害賠償請求を受けるだけでなく、刑事罰が科される可能性もあります。
また、SNSに生成AIで作った作品を安易に投稿してしまうことには、信頼を失ったり、炎上してしまったりするリスクもあります。
生成AIは非常に便利な技術ですが、適切な知識を持って正しく活用することが大切です。
著作権について理解を深め、創造性豊かで安全なAI活用を心がけましょう!
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