身近なものの電磁波を知ろう!影響と対策を解説



この記事について
「電磁波(でんじは)」という言葉を聞いたことがありますか?
スマートフォンや電子レンジ、パソコンなど、私たちの身の回りにある電化製品からは、目には見えない電磁波が出ています。
「電磁波は健康に影響する?」と心配される方もいらっしゃいますが、実際はどうなのでしょうか?
今回は、身近な家電からどのくらいの電磁波が出ているのか、そして電磁波が体にどんな影響を与えるのかを、わかりやすく説明していきます。
正しい知識を身につけて、安心して電化製品を使えるようにしましょう。
このコラムは、私が監修しました!

助教印牧 美紀Kanemaki Miki
私たちの生活は、スマートフォンや5G通信、さまざまな家電製品など、電磁波技術によって便利で豊かになっています。一方で、身近な電磁波に不安を感じる人も少なくありません。
私は、日常環境に存在する商用周波数を含む極低周波電界が、生体にどのような影響を与えるのかを研究しています。
具体的には、血液中の赤血球の動きを動画として記録し、電界による影響を定量的に調べています。
医療と工学の両面を理解する臨床工学技士として、工学的アプローチから得られる知見を、日常生活の安全性の理解にとどめず、将来的には医療現場での応用にもつなげていきたいと考えています。
目次
電磁波とは
電磁波とは、「電気の力」と「磁石の力」が影響しあいながら、空間を進んでいくエネルギーの波のことです。
「電気」と「磁気」という、性質の違う2つの力が組み合わさってできています。
私たちの生活では、照明、通信、家電など、あらゆる場面で電磁波が利用されています。
電界と磁界
電磁波を理解するには、「電界」と「磁界」という2つの要素を知る必要があります。
電界(でんかい/電場)
電圧がかかることで発生する力が影響する範囲(場所)のことです。
家電をコンセントに差すと、スイッチを入れていなくてもその周りに電界が生まれます。
例えば、デスクライトをコンセントに差し込むと、電線の中は「電気を流す準備ができている状態」になります。
このとき、電線の周りには「電気の力が働く範囲」、つまり電界が発生しているのです。
電圧が高いほど電界は強く、発生源から離れるほど弱くなります。
磁界(じかい/磁場)
電流が流れるときに発生する力が影響する範囲(場所)のことです。
スイッチを入れて家電が動き出す(実際に電気が流れている)と、その周りに磁界が生まれます。
先ほどのデスクライトの例だと、スイッチを入れると電線の中を電気(電流)が流れて明かりがつきます。
このとき、電線の周りには「磁石のような力が働く範囲」、つまり磁界が発生するのです。
電流が大きいほど磁界も強くなり、こちらも距離が離れると弱まります。
電磁波は、この電界と磁界が交互に影響し合いながら空間を伝わっていく現象です。
だからこそ、「電界」と「磁界」が組み合わさった「電磁波」と呼ばれているのです。
電磁波は周波数によって性質が変わるため、テレビの電波、スマホの通信、電子レンジでの加熱など、目的に応じて使い分けられています。
ちなみに、紫外線も電磁波の一種であることを知っていましたか?
「なぜ紫外線を浴びると日焼けするのか?」のコラムもぜひチェックしてみてくださいね。
身近なものの電磁波はどのくらい?
私たちの周りの家電からは、どのくらいの電磁波が出ているのでしょうか?
身近な家電製品を磁界が強い順に見てみましょう。
家電製品は電界よりも磁界のほうが人体への影響が大きいため、磁界の数値を測定することが一般的です。
磁界の単位は「mG(ミリガウス)」で、数値が大きいほど磁気が強いことを示します。
- 電子レンジ:約200mG
- 掃除機:約200mG
- こたつ:約100mG
- 電気シェーバー:約100mG
- ヘアドライヤー:約70mG
- 電気炊飯器: 約40mG
- ホットカーペット: 約30mG
※数値はおおよその目安であり、距離や機種により値は変わります。
電子レンジは食品を温めるために高い周波数を使うため、電磁波が強くなります。
掃除機やこたつも電磁波が強いですね。
また、ここで知っておいてほしいのは、電磁波が強いものだけ注意すれば良いというわけではないこと。
体の近くで長時間使う家電は注意が必要です。
例えばホットカーペットはこの中では電磁波は弱いですが、体の近くで長時間使うため、体に影響をおよぼす恐れがあります。
「低周波」「高周波」「静電気」の体への影響

電磁波は、周波数の違いなどによって低周波・高周波に分けられます。
また、身近な「静電気」も実は電磁波と関係があります。
低周波・高周波・静電気の特徴
低周波・高周波、そして静電気の3つの特徴や体への影響について見ていきましょう。
極低周波の特徴と影響
極低周波電磁波(50〜60Hz)は、家庭のコンセントや送電線などから発生する、とても身近な電磁波です。
家電製品や電力設備などは低周波のものが多いです。
強い低周波を浴びると、体の中に電気が流れて神経や筋肉に「ピリピリ」した刺激を感じることがあります。
ただし、そうした強い磁界(約5,000マイクロテスラ以上)を浴びることは、日常生活ではほぼありません。
また、電磁波は体内にたまらないため、例えばドライヤーを2回使ったからといって影響が2倍になることはありません。
発生源がなくなれば、体からも自然に消えます。
【影響を抑えるための対策】
- 使っていない家電のプラグを抜く
- パソコンなどは「アース(接地)」を取って電気を逃がす
- 長時間体に近い状態で使う家電には注意する
高周波の特徴と影響
高周波電磁波は、スマートフォン・Wi-Fi・電子レンジなどから発生します。
電子レンジが食品を温められるのは、高周波による「熱作用」があるからです。
スマートフォンを長時間使うと耳のあたりが温かくなるのは、この高周波による影響です。
世界保健機関(WHO)の関連機関「IARC(国際がん研究機関)」は、携帯電話を「発がん性の可能性がある(グループ2B)」としています。
ただし、これは「はっきりとした証拠が少ない」というレベルで、コーヒーや漬物なども同じ分類です。
【影響を抑えるための対策】
- 通話時はイヤホンやスピーカーモードを使う
- スマートフォンの使用時間は短めにする
- 家電とは物理的な距離を取る
- 電子レンジを使うときは1m以上離れる
静電気の特徴と影響
静電気は電磁波とは異なり、電荷がたまって起こる放電現象です。
物質同士の摩擦によって発生し、冬にドアノブを触って「バチッ」とくるのは、この静電気が放電したためです。
静電気がバチっと放電した瞬間に、実は電磁波が発生しています。
強い静電気は不快感を与えるだけでなく、体に電気がたまることで不調を感じる人もいます。
ナイロンやポリエステルなどの服は静電気をためやすく、ゴム底の靴は電気を逃しにくい性質があります。
【影響を抑えるための対策】
- 綿や麻など天然素材の服を着る
- 革底の靴を履いて電気を逃がす
- 加湿器などで部屋の湿度を保つ
電磁波の安全基準
世界保健機関(WHO)の協力機関である国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)では、磁界に関する基準について、50〜60Hzの磁界の上限は200μT(マイクロテスラ)を目安としています。
※1mG = 0.1μT。200μTは2,000mGです。
この数値は、健康に影響が出るレベルよりもずっと低く設定されています。
世界保健機関も「日常生活レベルの電磁波で健康に影響があるという確実な証拠はない」としています。
身近なものから出る電磁波を理解して安心な生活をおくろう
電磁波は、私たちの生活に欠かせないエネルギーです。
特に長時間使う家電や体に近づけて使うものに注意し、正しく使えば心配しすぎる必要はありません。
使わないときはプラグを抜く、スマートフォンはイヤホンで通話する、家電とは少し距離を取るといった簡単な工夫で、電磁波の影響を大きく減らすことができます。
現時点では日常生活レベルの電磁波による健康への悪影響は確認されていません。
正しい知識を持って、電磁波と上手に付き合いながら、便利で快適な生活を送りましょう。
北海道科学大学保健医療学部臨床工学科で医療機器のスペシャリストを目指しませんか?
電磁波と深く関わる分野に、医療機器があります。
病院で使われる人工呼吸器やMRI、ペースメーカーなどの医療機器は、電気や電磁波の原理を利用して患者さんの命を守っています。
北海道科学大学保健医療学部臨床工学科では、こうした医療機器のスペシャリストである「臨床工学技士」を育成しています。
現役学生の臨床工学技士国家試験合格率は、16年連続全国平均以上! 2024年度の合格率は100%を誇っています。
卒業後は医療現場で臨床工学技士として働くほか、大学院への進学、医療機器を開発・製造・販売を行うメーカー(企業)で知識を生かして働いている人もいます。











