インフルエンザワクチン接種が毎年必要なのはなぜ?理由と効果をわかりやすく解説



この記事について
みなさんは、毎年秋から冬にかけてインフルエンザワクチンの接種を受けていますか。
ワクチンは、感染症から私たちの体を守る重要な予防手段です。
「去年も接種したのに、また今年も必要なの?」と思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、インフルエンザワクチンを毎年接種することには、明確な理由があります。
今回は、インフルエンザワクチンの仕組みや毎年接種が必要な理由、そして接種時の注意点について、わかりやすく解説します。
このコラムは、私が監修しました!
准教授樋浦 一哉Hiura Kazuya臨床薬学 診断・治療バイオマーカー 病院薬剤師に関する実務
医薬品は、承認時の臨床試験だけで、その有効性や安全性のすべてが明らかになるわけではありません。
実際の医療現場で使用される中で、予測できなかった効果や副反応が初めて明らかになることもあります。
こうした実臨床で得られた情報をもとに、科学的根拠を積み重ねながら医薬品をより良く使っていく考え方を「育薬」といいます。
私は、臨床現場で薬剤師として実務に携わりながら、日々の診療で生じる疑問を出発点に研究を行い、その成果を臨床へ還元することを目指しています。
インフルエンザワクチンも、実臨床の中でその効果や役割が評価され続けている医薬品の一つです。
本記事では、なぜ毎年接種が必要なのか、どのような効果が期待できるのかについて、分かりやすく解説します。
目次
インフルエンザワクチンを毎年接種しなければならないのはなぜ?理由は大きく2つあります!
「去年も打ったのに、どうして今年も必要なの?」と思う方も多いのではないでしょうか。
毎年の接種が必要な理由は大きく2つあります。
インフルエンザウイルスが毎年変異する
インフルエンザウイルスは「抗原変異」と呼ばれる構造の変化を頻繁に起こします。
私たちの体は、一度出会ったウイルスを記憶しますが、ウイルスの構造が変わると、その記憶が十分に役立たなくなることがあります。
その結果、前年のワクチンで得た免疫では、その年に流行するウイルスに対応できない場合があります。
このため、世界保健機関(WHO)が、世界各地の流行状況を監視し、その年に流行が予測されるウイルスの種類を選定しています。
日本ではその情報をもとに毎年4月頃にワクチンの種類が決定され、複数の種類をくみあわせたワクチンが使用されています。
ワクチンの効果の持続する期間が短い
インフルエンザワクチンは免疫の持続期間が約5ヶ月程度と比較的短いという特徴があります。
ワクチンの種類は大きく分けて不活化ワクチンと生ワクチンがあります。
インフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」です。
不活化ワクチンとは、ウイルスを「完全に感染力のない状態」にして作られたワクチンのことで、安全性が高いという特徴があります。
一方、生ワクチンは病原体を「弱毒化した生きた状態」で用いるため、体内で一時的に増殖し、免疫が長期間持続しやすいという特徴があります。
このように、ワクチンの種類や対象疾患によって免疫の持続期間は異なりますが、インフルエンザワクチンは効果の持続が比較的短いワクチンであるため、毎年の接種が必要となります。
免疫のしくみについては「免疫とは?仕組みや種類、高める方法をわかりやすく解説!」で詳しく解説しています。
あわせて参考にしてくださいね。
ちなみに、インフルエンザワクチンといえば注射のイメージを持つ方も多いと思いますが、近年「フルミスト」と呼ばれる鼻から接種するタイプのインフルエンザワクチンが日本で承認されました。
ワクチン接種の選択肢も広がってきていますよ。
インフルエンザワクチンは接種すべき?
これまで述べたように、インフルエンザワクチンは年によって効果に差があり、免疫の持続期間も長くありません。
そのため、「効果が完全ではないワクチンを接種すべきか」と悩む方もいるでしょう。
実際に、「ワクチンを接種したのにインフルエンザにかかった」という経験を持つ方も少なくないのではないでしょうか?
インフルエンザワクチンには、主に次の2つの重要な効果があることが分かっています。
発症を予防する効果が期待される
一部の研究で、健康な成人において、インフルエンザの発症リスクを40~60%程度低下させると報告されています。
ただし、この効果は地域や季節、その年に流行するウイルスの種類によって差があります。
重症化を防ぐ効果
特に高齢者では、地域やその年に流行するウイルスの種類によって差はあるものの、ワクチン接種により重症化や死亡のリスクが大きく低下することが報告されています。
研究によっては、死亡リスクが70~80%程度低下したとする報告もあります。
このように、インフルエンザワクチンは感染を完全に防ぐものではありませんが、流行するウイルスの種類が完全に一致しない場合でも、接種することで発症や重症化のリスクを下げ、症状が軽く済んだり、発熱期間が短くなったりする効果が期待できます。
インフルエンザ対策は、ワクチン接種に加えて、日頃の体調管理や正しい知識も重要です。
症状や対処法については「インフルエンザとは?症状や対処法、予防法を簡単に解説!」で詳しく解説しています。
あわせて参考にしてくださいね。
インフルエンザワクチン接種の注意点

ここまでお読みいただき、インフルエンザワクチンを毎年接種することの大切さについて、ご理解いただけたのではないでしょうか。
とはいえ、ワクチンは「接種すればそれで終わり」ではなく、接種する時期や体調などにも注意が必要です。
そこでここからは、インフルエンザワクチンの効果をより高め、安全に接種するために知っておきたい注意点について解説します。
接種を受ける前に、ぜひ確認しておきましょう。
接種に適した時期
インフルエンザワクチンの接種時期は、通常10月から12月上旬が目安とされています。
接種後、免疫が十分に形成されるまでには約2週間かかり、その効果は約5か月間持続します。
インフルエンザは、12月頃から流行が本格化し、1月から3月にピークを迎えることが多いため、流行期に備えて10月から12月上旬までに接種することが望ましいとされています。
また、接種に適した時期を逃した場合でも、流行期間中であれば接種する意義はあります。
インフルエンザの流行状況に応じて、接種を検討しましょう。
接種前に医師等への相談が必要な人
インフルエンザワクチンは、毎年多くの方が接種している安全性の高いワクチンです。
ただし、体質や健康状態によっては、接種を控えるべき場合や事前に医師への相談が必要な場合があります。
以下に該当する方は、接種前に必ず相談してください。
- 鶏卵に重篤なアレルギーがある方(ワクチンは鶏卵を使って製造されるため)
- 過去にインフルエンザワクチンで重篤な副作用を経験した方
- 接種当日に発熱している方
- 重篤な急性疾患にかかっている方
注意すべき副反応と接種後の過ごし方
ワクチン接種後には、副反応がみられることがありますが、多くの場合は軽度で、数日以内に自然に改善します。
最も多いのは、接種部位の痛み、赤み、腫れなどの局所症状です。
これらは接種後1~2日以内に現れ、通常2~3日で自然に改善します。
これらの反応は、体の免疫がワクチンに反応している正常な反応でもあります。
全身症状として、軽い発熱、倦怠感(体のだるさ)、頭痛などがあらわれることがありますが、これらの症状も、通常は軽度で1~2日程度で回復します。
アナフィラキシーショックなどの重篤な副反応は非常にまれですが、万が一に備え、多くの医療機関では接種後、一定時間待機してから帰宅していただいていると思います。
接種当日の注意点
接種当日は、以下の点に気をつけてください。
- 激しい運動や飲酒は避ける
- 入浴の際は、接種部位を強くこすらない
呼吸が苦しい、全身に発疹が出る、強い倦怠感が続くなど、普段と異なる症状が現れた場合は、速やかに接種を受けた医療機関へ連絡してください。
インフルエンザワクチンは毎年の接種で感染予防を!
インフルエンザワクチンは、ウイルスが毎年変異することや、免疫の持続期間が比較的短いことから、毎年接種することが推奨されています。
感染を完全に防ぐことはできませんが、発症や重症化、特に高齢者における死亡リスクを下げる効果があることが分かっています。
インフルエンザワクチンの接種は、時期や流行状況をチェックし、必要に応じて医師に相談しながら決めましょう。
もちろん、インフルエンザ対策は、日頃の体調管理も大切です。
ワクチン接種も選択肢の一つとして検討して、万全の対策を整えていきましょう!
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