インフルエンザとは?症状や対処法、予防法を簡単に解説!

健康2024.02.21

この記事について

冬場の乾燥した時期はインフルエンザが流行し、多くの方が発熱やのどの痛みなどに悩まされます。
インフルエンザに感染しないためには、毎年のワクチン接種と日頃の手指衛生が大切です。


しかし、そもそもインフルエンザとはどのような病気で、発症した時はどのように対処すれば良いのでしょうか?


今回は、インフルエンザの症状や対処法について詳しく解説します。
インフルエンザの予防方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 保健医療学部 臨床工学科

教授古谷 大輔Furuya Daisuke病態検査学 感染制御学 臨床微生物学 遺伝子検査学

市内大学病院の検査部で臨床検査技師として20年以上の臨床経験があります。
認定臨床微生物検査技師(CMTCM)、感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT)、およびInfection Control Doctor(ICD)の認定資格を保有しており、市内の病院で医療従事者を対象に、結核、インフルエンザウイルスやノロウイルスについて院内感染対策講習会の講師を毎年務めています。
主な研究テーマは、「自然界におけるウイルスの挙動と実態把握」です。下水中のウイルス濃度をリアルタイムPCR法で解析することで、下水疫学調査の有用性を評価しています。これまで、ノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルス、アストロウイルスやエンテロウイルスを対象に調査しており、現在は新型コロナウイルスを解析しています。

インフルエンザとは?簡単に解説!

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスが原因で起こり、ウイルスが鼻やのどへ入り込み、体内で増えていくことで、熱やのどの痛みなどを引き起こす感染症です。

インフルエンザウイルスは、A型、B型、およびC型の3種類があり、臨床的にA型とB型が重要です。

一般的にインフルエンザは11月下旬から12月上旬に流行が始まり、1月〜3月に感染者数がピークを迎え、春先まで続きます。
4月〜5月にかけて感染者数は減少していきますが、夏場に発症するケースがあるなど、その年によって傾向が異なります。

インフルエンザの感染経路は、主に飛沫感染と接触感染です。

感染者が咳やくしゃみをした時に排泄する「ウイルスを含む小さな水滴(飛沫)」を、他人が吸い込むことで感染するのが飛沫感染です。
感染者との直接接触や、感染者が触れたもの(ドアノブや電車の吊り革など)を介してウイルスが伝播するのが接触感染です。

インフルエンザウイルスに感染した後は、すぐに症状が出るわけではなく、1〜3日ほどの潜伏期間があります。

その潜伏期間を経てから38℃以上の高熱や頭痛、倦怠感(だるさ)、筋肉痛や関節痛などの全身症状が現れます。
その後、1週間程度で回復します。

インフルエンザを発症した後は、感染したウイルスと同じ型の免疫しか作られないため、違う型のインフルエンザウイルスに再度感染することがあります。

例えば、A型インフルエンザウイルスに感染・発症した場合は、A型の免疫のみが作られ、B型の免疫は作られません。
そのため、B型インフルエンザウイルスに感染するリスクがあります。
A型とB型が同時流行している場合では、どちらのウイルスにも感染するリスクがあります。

風邪との違いとは?

風邪の場合、原因となるウイルスはライノウイルスやコロナウイルスなどさまざまで、鼻水、のどの痛み、咳、発熱や全身倦怠感などの症状を引き起こします。
多くは安静により自然治癒します。

一方、インフルエンザは、38℃を超える突然の発熱や、関節痛や全身倦怠感などの全身症状が風邪に比べて強くみられます。
肺炎や急性脳症など重症化するケースがあることから、抗インフルエンザウイルス薬による治療が大切です。

インフルエンザに感染したらどうする?対処法をチェック

発熱や関節痛などの全身症状が現れるインフルエンザですが、感染した場合にどのような対処をすれば良いのでしょうか?
その対処法と、自宅で休む場合の注意点について解説します。

インフルエンザに感染した場合の対処法

急な発熱やのどの痛み、全身の倦怠感が見られた場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。

子どもや高齢者、持病のある方は、肺炎や脳症などの合併症を引き起こす危険性があるため、注意が必要です。

発熱してから12時間未満に受診した場合、検査で陽性反応が出ないことがありますので注意しましょう。
診断を目的とした場合は、少なくとも発熱後12時間以上が経過してから受診してください。

ただし、意識が朦朧としている、水分が摂れない、痙攣を起こした、顔色が悪いといった症状が見られる場合は、発熱後12時間経過していなくても、すみやかに医療機関を受診しましょう。
インフルエンザは臨床診断が重要で、検査結果を待たず、すぐに治療を開始することが大切です。

治療は、タミフルやゾフルーザなどの抗インフルエンザウイルス薬が処方されます。
抗インフルエンザウイルス薬の適切な内服時期は「発症から48時間以内」です。
発熱の期間が1〜2日間短縮し、ウイルスの排出量が減少し、他人への感染のリスクを減らすことが分っています。

抗インフルエンザウイルス薬の種類により、服用方法が異なります。
薬を服用する際は、用法や用量など医師の指示に従うようにしましょう。

自宅で休む場合の注意点

インフルエンザに感染した後、特に子どもを中心に以下のような異常行動を引き起こすケースがあります。

  • 突然立ち上がって部屋から出ようとする
  • 人に襲われるような感覚を覚え、外に出る
  • 興奮状態で窓を開けて飛び降りようとする
  • 外を歩き、呼びかけても反応しない
  • 泣きながら部屋中を動き回る など

※参考:厚生労働省「インフルエンザQ&A」

これらの異常行動は、発熱から2日間以内に発生するケースが多くみられます。
家族に小さい子どもがいる場合は、「転落しないように見守る」、「1階に布団を敷いて寝かせる」などの対策を考えましょう。

インフルエンザによる出席停止のルール

インフルエンザによる出席停止のルールは、学校保健安全法によって決められています。

インフルエンザを発症してから登校できるまでの条件は、以下の通りです。

  • 発熱した翌日を1日目として、インフルエンザを発症してから5日が経過していること
  • 熱が下がってから2日が経過していること

インフルエンザを発症した際の参考にしてください。

インフルエンザに感染しないために!予防法を解説

手洗いのイメージ

インフルエンザに感染しないためには、予防が大切です。
主な予防法について詳しく解説します。

ワクチン接種

インフルエンザが流行する前に予めワクチンを接種しておくことが、最も有効な予防対策です。

ワクチンの接種は、12月中旬頃までに済ませておくことが望まれます。
ワクチンを接種すればインフルエンザに感染しないとは限りませんが、発症を抑えられるだけでなく、重症化の防止が期待できます。

原則として、13歳以上は1回の接種、13歳未満は2回接種となっています。

これまでワクチン接種は注射による方法しかありませんでしたが、2023年から鼻の中に霧状にスプレーするタイプの経鼻ワクチン「フルミスト点鼻薬」が国内で使用可能になりました。

手指衛生

「手洗い」と「アルコール性の手指消毒液」が有用です。

外出先から帰宅した時やトイレを利用した後は、手にウイルスが付着していることが多いため、手をしっかり洗う必要があります。

正しい手の洗い方は、以下の通りです。

  1. 水で手を濡らした後、石鹸で手の平をよくこする
  2. 手の甲を伸ばすようにこする
  3. 指先や爪の間を念入りにこする
  4. 指の間を洗う
  5. 親指と手のひらをねじり洗いする
  6. 手首を握って洗う
  7. 水で石鹸を洗い流し、清潔なタオルやペーパータオルで拭き上げる

手を洗う際は、腕時計や指輪を外してから洗うようにしましょう。衛生的な爪の長さを維持できるように、日頃からケアしましょう。

アルコール性の手指消毒液はインフルエンザウイルスの消毒に有効です。
手洗い後に併用するか、手洗いができないような状況で活用しましょう。

室内の加湿と換気

空気が乾燥すると、のどの粘膜を守る機能が弱くなり、インフルエンザに感染しやすくなります。

特に室内は暖房器具の使用などで乾燥しやすいため、加湿器などを使用して湿度を50〜60%ほどに保つように心がけましょう。

また、一緒に住んでいる家族がインフルエンザに感染した場合、別の部屋に移動してもらい、適度に換気をしてください。

インフルエンザとは何かを知って予防・対策を!

インフルエンザとは体内に入り込んだインフルエンザウイルスが原因で、突然の発熱や、関節痛や全身倦怠感などの全身症状を引き起こす感染症です。
例年、11月下旬から12月上旬にかけて流行が始まり、春先まで続きます。

インフルエンザは飛沫感染と接触感染が主な感染経路です。
咳やくしゃみでウイルスを含む飛沫を吸い込んだり、ウイルスが付いたものに触れたりすることで感染します。

通常の風邪とは違い、インフルエンザは重症化のリスクがあります。
感染が疑われる場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。
抗インフルエンザウイルス薬の適切な内服時期は、発症から48時間以内です。

「流行前の事前ワクチン接種」と「日頃からの手洗い」で予防し、インフルエンザが流行っている時には室内を加湿するなどの対策をしましょう!

インフルエンザについて学べる講座を行なっています。

北海道科学大学臨床工学科の古谷 大輔教授が今回のコラムと同じテーマである「インフルエンザについて」の講座を行なっています。

インフルエンザウイルスとその感染対策について解説しますので、インフルエンザについてさらに深掘りしたい方のご参加をお待ちしています!

臨床工学科は、医療機器の操作や管理、開発などに必要な医学と工学を学ぶ複合的な学問分野です。
医師や看護師とともに医療現場で命を守るプロフェッショナルを目指せます。
病院での臨床実習では実践技術の向上を図りながら、最先端の機器に触れられます。

北海道で臨床工学を学びたい方は、ぜひ北海道科学大学保健医療学部 臨床工学科へお越しください!

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