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2023年05月24日

薬学科 三原 義広講師が電力不要で水中で浮沈する水浄化材を開発しました。

薬学科 三原 義広講師(寒地先端材料研究所 研究員)は、直径5ミリメートルのゲル粒子に微生物と吸着剤を内包し、電力不要で水中で浮沈する水浄化材を開発しました。本研究は公益財団JKAが実施する補助事業に採択されたものであり、水中を浮沈しながら水底と水面の間を移動する特徴を持ち、水中に存在する汚染物質の除去や水中への薬物の輸送など幅広い分野での活用を見込みます。

<浮沈粒子>

この粒子は、微生物反応により浮沈機能を有する内層と吸着機能を有する外層からなるコアシェル構造を持っています。ドライイーストは水に触れるとグルコースを取り込み、炭酸ガスを発生させ、このガスが粒子の内部に蓄積されると浮上し、消失すると沈下します。微生物の反応が続く限り、粒子は浮沈を繰り返します。

<粒子の浮沈メカニズム>

これまで、浮沈粒子の製造試験はすべて手作業で行っており、浮沈性能のバラツキや微生物の保管性に課題があった。22年度に公益財団法人JKA研究補助に採択され、粒子を自動製造するための要素技術の開発に取り組みました。 

粒子は高活性条件で1時間あたり12回ほど浮沈を繰り返します。浮沈粒子は乾燥保管することが可能です。浄化材を投げ入れるなどの簡易な方法により粒子が徐々に浮沈し始め、水中の重金属イオンやセシウム、フッ素、色素などが効率的に除去されることが分かりました。 

衛生分野での活用も期待される。様々な伝染病を媒介する蚊は、卵から幼虫、蛹となるまで水底の泥の中で過ごします。池、水田、側溝など流れの少ない水域に発生する。薬剤を浮沈粒子に導入できれば、水底など薬剤が届きにくい箇所への駆除などにつながる可能性があります。 

2030年頃には新興国を中心とした人口の劇的な増大によるエネルギー・水・食料不足とその解決が世界レベルの大きな課題になっています。 

三原先生は「今後は浮沈粒子に様々な吸着剤を導入することを試しながら、粒子の性能安定化・量産化に向けた装置開発を進めたい。将来的にはすべての人々に安全な水を提供できる浄化材を実現したい」と話します。

【完了報告】このたび、公益財団法人JKAからの自転車等機械振興事業補助金を受けて、研究開発を行いました。

2022年度 自律浮沈粒子を用いた電力不要な革新的水浄化システムの開発補助事業PDF

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