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今の車と昔の車の違い!知れば驚く自動車の進化

テクノロジー2025.07.03

この記事について

皆さんは普段何気なく乗っている自動車が、どれほど進化してきたか考えたことはありますか?

窓一つとっても、その進化は歴然!
昔は、窓を開けるにも手動でハンドルをくるくる回していたんですよ。

今回のコラムでは、自動車の歴史を振り返りながら、今の車と昔の車の驚くべき違いを紹介します。
自動車がどのように進化し、私たちの生活をより便利で安全なものにしてきたのか、そのダイナミックな変化の軌跡を一緒にたどってみましょう。

私たちの生活に欠かせない自動車の進化の過程を知ることで、科学技術の素晴らしさを実感できるでしょう。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 工学部 機械工学科

准教授北川 浩史Kitagawa Hiroshi機械工学

私の所属する研究室は「エンジンシステム研究室」といいます。エンジン(内燃機関)から排出される有害物質の低減や、軽油(化石燃料)に代わる代替燃料に関する研究を主に進めています。
また、私は自動車整備士の資格も持っているので、企業から持ち込まれる「自動車」に関する案件にも対応しています。その中には、いわゆるエンジンを持たない電気自動車の「電費」に関する研究だったり「自動車のラジコン化」といった研究もあります。
そうかと思えば、学内では「1926年製T型フォード」のプロジェクトメンバーでもあります。約100年前の自動車ですが、学ぶところが多くとても楽しいです。学内に常設展示していますので、ぜひ見に来てください!

今の車と昔の車は何が違う?車の歴史を知ろう

自動車は私たちの生活に欠かせない移動手段ですが、その姿形や性能は時代とともに大きく変わってきました。
世界と日本における自動車の歴史を科学的視点から見ていきましょう。

世界の車の歴史:世界初の車はどのようなものだった?

世界で最初に作られた車は、1769年に登場した蒸気の力で走る車です。

この車は今の車とは全く違い、蒸気をためるために何度も止まってお湯を沸かす必要がありました。
また、とてもスピードが遅く、今の車のような快適さはありませんでした。

その後、1832年に電気エネルギーを動力に変えるモーター式自動車が、1876年にはガソリンなど燃料を燃やした力で直接車を動かす「内燃機関」(現在のエンジンの原型)が発明されました。
これにより、車は長い距離を走れるようになり、使いやすさも格段に向上。
1886年には、初代ガソリン自動車が誕生します。

初期の車は、ハンドルは今のような丸い形ではなく棒のようなレバー、タイヤも木枠に鉄の輪を付けた物でした。
車が重くなり、速度も上がってきたため、運転しやすいように丸いハンドルへと変化。
タイヤは後にゴムで覆われるようになり、さらに、空気の入ったゴムタイヤが発明されて乗り心地が格段に良くなりました。

1908年にはアメリカのフォード社が、流れ生産方式で自動車の量産に成功。
安い価格で自動車が作れるようになり、多くの人に手に届く存在になりました。
学校法人北海道科学大学は1924年に自動車運転技能教授所としてスタートしました。
そのとき教習車として使用されていた1926年製のT型フォードが動態保存されています。
一般公開していますのでぜひ見に来てください。

1926年製のT型フォード

日本での車の歴史:日本の自動車はどう発展した?

日本の自動車の歴史は、世界初から遅れること約25年の明治時代からスタート。
1904年に蒸気式の自動車が、1907年には日本初のガソリン車が作られました。

大正時代には「ダット」や「オートモ号」という国産乗用車が登場。
しかし残念ながら当時は、海外の車に市場を奪われてしまいます。

その後、日本で乗用車が量産されるようになったのは1950年代半ばから。
それまではトラックの製造が主流でしたが、この頃から日産スカイラインやトヨタカローラといった、今でも人気のある日本独自の車が登場します。

1970年代に入ると、排気ガスによる大気汚染が問題に。
排出ガス規制をクリアしたエンジンの開発も進んでいきます。
1972年にはホンダのCVCCエンジンが世界で初めて米国のマスキー法をクリアしました。

1980年代には樹脂製バンパーやエンジンの電子制御など、今の高性能な車につながる技術が誕生。
1990年代になると、衝突安全ボディやABS、エアバッグなど安全性能が飛躍的に向上し、また、日本は世界に先駆けてGPS内蔵のカーナビゲーションシステムを開発しました。

1990年代後半からは環境に優しいエコカーが注目され、ハイブリッド車や電気自動車の開発が進められます。
1997年には「世界初の量産ハイブリッドカー」としてトヨタの「プリウス」が登場。
2004年に2代目が出たころからガソリン価格高騰の影響もありエコカーへの関心がさらに高まり、販売数を大きく伸ばしました。


1769年の世界初の車の登場から約250年、そして1960年代の日本の乗用車量産から約60年あまり。
電気で走る車や自動運転技術、インターネットにつながる車など、昔では考えられなかった技術が次々と実用化。
現代の自動車業界は100年に一度の変革期ともいわれ、さらなる進化を続けています。

今の車と昔の車の違いにびっくり!?昔の車はこんなだった!

古い車のイメージ

今の若い人たちが見たら驚くような、昔の車の特徴を紹介します。
今では考えられないような昔の車の常識や装備を見てみましょう!

窓は手で回して開ける

今の車の窓はボタン一つで開閉できますが、昔の車は各ドアについているハンドルをくるくると回して窓を開閉していました。

高速道路の料金所では、今のようにETCもなく、すべて現金・手渡しでのやり取り。
窓を開けてお金を払う必要があり、これが結構大変だったのです。

ドアの鍵は一つずつ閉める

今の車はリモコンのボタン一つで全てのドアをロックできます。
しかし昔の車はドアごとに鍵をかける必要がありました。
降車時には、全てのドアを内側からロックして、最後に運転席のドアを外から鍵で閉めるという手順が必要でした。

面倒なので鍵をかけ忘れることも多かったようです。

フェンダーミラーで後ろを見る

フェンダーミラーのある車

今はドア横に「サイドミラー(ドアミラー)」がついていますが、昔はボンネットの前の「フェンダーミラー」が主流でした。
ドアミラーは顔を横に振る必要があり、前方への注意がおろそかになるという理由で禁止されていたのです。

1983年にドアミラーが認められるようになりましたが、視認性に優れるという理由から今でもタクシーではフェンダーミラーが使われています。

2018年にはLEXUSがデジタルアウターミラーを量産車に世界初採用しています。
これは、フロントドアの外側についているカメラで撮影した映像を室内のディスプレイに表示させるもので、天候の影響を受けにくく優れた視認性を確保することができます。

エアコンではなく三角窓で空気を入れる

車の三角窓

昔の車のドアの前方には「三角窓」と呼ばれる小さな窓がありました。
車にエアコンがなかった時代、この窓を開けて外気を取り入れていたのです。
もちろん開閉は手動です。

エアコンが普及すると徐々に姿を消していきました。

スピードを出しすぎるとアラームが鳴る

1980年代まで、時速100kmを超えると「キンコン」と警告音が鳴る速度警報装置が車についていました。
当時、100km/h以上のスピードを出せる高速道路はありませんので、スピード出し過ぎの警告音でした。

速度警報装置の設置は、1975年に法律で義務付けられており、設置していない車は車検に通りませんでした。
しかし、これは日本独自の装置であり、グローバルで統一された仕様にするためにも1986年に義務付けは廃止されています。(諸説あり)

雪道では金属のピンがついたタイヤ(スパイクタイヤ)を使う

昔は雪道のスリップ対策として、タイヤに金属のスパイク(スタッド)が打ち込まれたスパイクタイヤが使われていました。
このピンが雪や氷に刺さり、滑らずに走行できるというものです。

しかし、乾いた道路ではピンがアスファルトを削り、粉塵を巻き上げるという問題が発生。
1980年代にこれが公害として問題になり、現在のスタッドレスタイヤに変更されました。
※参考:北海道開発局「公害となった時代の様子

現在は、積雪や凍結のない道路でのスパイクタイヤの使用は法律で禁止されています。

北海道では、地域ごとにスパイクタイヤが使用できない「スパイクタイヤ使用規制期間」、スパイクタイヤを使用しないように努める「スパイクタイヤ使用抑制期間」が条例によって定められています。
※参考:北海道「スパイクタイヤに関する規制について

今の車と昔の車の違いを比べると科学技術の進歩がわかる!

昔の車は「走る」という基本機能だけでしたが、今の車は快適さ、便利さ、安全性、環境への配慮など、さまざまな面で進化しています。

窓の開閉やドアのロックが自動化され、エアコンが標準装備に。
安全面では、衝突安全ボディやエアバッグ、自動ブレーキなどが当たり前になり、事故の被害を減らしているのです。

また、ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池自動車など、環境に優しい車も増えています。

自動運転技術の進化も目覚ましく、今や一部の車両では高速道路での自動走行が可能になっています。

現代の自動車業界は「100年に一度の変革期」といわれています。
これからも自動運転技術や通信機能など、さらに進化していくでしょう。

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