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車の構造をわかりやすく解説!ガソリン車から電気自動車まで

テクノロジー2025.09.12

この記事について

普段何気なく乗っている車ですが、どのような仕組みで動いているのか考えたことはありますか?

車は私たちの生活に欠かせない乗り物。
その構造を知ることは車の安全な利用やメンテナンスにもつながります!

今回は、車の基本的な構造や仕組みをわかりやすく解説します。
科学の視点から車の魅力に触れてみましょう!

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 工学部 電気電子工学科

准教授折川 幸司Orikawa Koji

私の専門分野は「半導体デバイスを用いて電気エネルギーを効率良く変換する省エネルギー技術」で、“パワーエレクトロニクス(略して、パワエレ)”と呼ばれています。パワエレの最近の代表的な応用例が電気自動車やハイブリッドカーです。

開発当初に比べて現在の電気自動車やハイブリッドカーの航続距離は伸びてきています。これはバッテリーの大容量化に加えて、パワエレの技術開発によるものです。具体的には、電気モーターの材料の高性能化や高効率制御の開発、そして電気モーターを駆動するためのインバータと呼ばれる電力変換装置に使用される半導体デバイスの高性能化が挙げられます。さらにはエンジンなどの機械的な部品も高効率化・長寿命化してきています。

自動車はボディ・タイヤなどの外見とハンドル・ペダルなどの運転手が実際に触れる部分にばかり目が行きがちですが、安全・快適な自動車の走行には自動車内部に隠れている機械的な部品と電気的な部品の連携がとても重要です。

車の構造をわかりやすく解説!

車には、ガソリンを燃料とする「ガソリン車」や電気で動く「電気自動車(EV)」、ガソリン車と電気自動車の両方の特徴を持つ「ハイブリッドカー」など、さまざまな種類があります。

ガソリン車と電気自動車、ハイブリッドカーでは、動く原理は違いますが、基本的な構造は共通です。
車の構造は大きく分けて、以下の4つから成り立っています。

  • ボディ
  • エンジンまたは電気モーター
  • サスペンション、タイヤ、ブレーキなどの足回り
  • ハンドル、ペダルなどの操作系部品

それを踏まえて、ガソリン車や電気自動車、ハイブリッドカーがどのように動くのかも見ていきましょう。

ガソリン車の仕組み

ガソリン車は、エンジンでガソリンを燃焼させてエネルギーを生み出し、生み出したエネルギーをタイヤに伝えて走ります。

エンジンの主な部品には、以下のようなものがあります。

  • シリンダー:燃料と空気が燃焼する部屋のような部品
  • ピストン:燃焼の力で上下に動く部品
  • クランクシャフト:ピストンの上下運動を回転運動に変える軸
  • エンジンバルブ:吸気や排気のために開閉する弁

ガソリンと空気の混合気がシリンダー内で燃焼し、燃焼した力でピストンが上下に動きます。
ピストンの動きがクランクシャフトを回転させ、クランクシャフトの回転力がタイヤに伝わって車が動く仕組みです。

エンジンの種類には、シリンダーの並び方によって、直列エンジンやV型エンジン、水平対向エンジンなどがあります。
それぞれ特徴が異なり、車の走行性能やデザインに影響します。

電気自動車・ハイブリッドカーの仕組み

EVとも呼ばれる電気自動車は、エンジンの代わりに電気モーターを使用します。
バッテリーから供給される電気でモーターを回転させ、その力でタイヤを動かします。

ガソリンを使わないため、走行中に排気ガスを出さず、環境に優しい車として注目されています。
ただし、充電に時間がかかることや、一度の充電で走れる距離がガソリン車より短いことが課題です。

ハイブリッドカーは、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を搭載しています。
状況に応じて使い分けることで、燃費の向上と環境負荷の低減を実現します。
例えば、発進や低速走行では電気モーターを使い、高速走行ではガソリンエンジンを使うといったイメージです。

また、ブレーキをかけたときの運動エネルギーを電気に変換して回収し、バッテリーに蓄えることもできます。

電気自動車の仕組みについては「電気自動車の仕組みを子ども向けにやさしく解説!」で詳しくご紹介しています。

車が「走る・曲がる・止まる」仕組みをわかりやすく!

ディスクブレーキ

車の基本的な動作は「走る」「曲がる」「止まる」の3つです。
これらの動作が安全に行えるよう、さまざまな部品が連携して働いています。

車が「走る」仕組み

車が走るためには、エンジン、または電気モーターの力をタイヤに伝える必要があります。
ガソリン車の場合、エンジンで作られた回転力は「トランスミッション」という部品を通じてタイヤに伝わります。

トランスミッションは変速機とも呼ばれ、速度や道路状況に合わせて適切な力をタイヤに伝える役割を担っています。
手動で変速を行う「マニュアルトランスミッション」と、自動で変速する「オートマチックトランスミッション」があります。

最近の車では、操作が簡単なオートマチックトランスミッションが主流です。

また、動力を伝えるシステムには、次のような種類があります。

  • フロントエンジン・フロントドライブ:前方にエンジンを搭載し前輪を駆動する
  • フロントエンジン・リアドライブ:前方にエンジンを搭載し後輪を駆動する
  • フォーホイールドライブ:四輪すべてを駆動する

電気自動車では、バッテリーからの電力でモーターを回転させ、その力をタイヤに伝えることで走行を可能にしています。
ガソリン車より部品が少なく、構造がシンプルなので、メンテナンスが簡単というメリットがあります。

車が「曲がる」仕組み

車が曲がるためには、ハンドルの動きをタイヤの向きに伝える必要があります。
「曲がる」に関わる主な部品は、以下の3つです。

  • ステアリングシャフト
  • ステアリングギアボックス
  • タイロッド

ハンドルを回すことで「ステアリングシャフト」を通じて「ステアリングギアボックス」にハンドルの動きが伝わります。

ステアリングシャフトとは、ハンドル操作の動きをステアリングギアボックスに伝える重要な部品です。
ステアリングギアボックスでは回転運動が左右の往復運動に変換され、「タイロッド」を通じてタイヤの向きを変えます。

最近の車にはパワーステアリングが装備されており、油圧や電動モーターの力でハンドル操作を補助してくれます。
そのため、少ない力でもスムーズにハンドルを回せるようになっています。

さまざまな部品が連動することで、車が曲がる仕組みをつくりだしています。

車が「止まる」仕組み

車を止めるためには、タイヤの回転を抑える必要があります。
そのための装置が「ブレーキ」です。

ブレーキには主に、以下の2種類があります。

  • ディスクブレーキ
  • ドラムブレーキ

ディスクブレーキはタイヤと一緒に回転する「ディスクローター」という部品を「ブレーキパッド」で挟み込むことで、摩擦力を発生させて車を減速・停止させます。
ドラムブレーキは、タイヤの内側に取り付けられた「ブレーキドラム」という部品に「ブレーキシュー」を押し付けることで摩擦力を発生させて車を減速・停止させます。

最近の車では前輪にディスクブレーキ、後輪にドラムブレーキを組み合わせたタイプや、全輪ディスクブレーキのタイプが主流です。
また、「ABS(アンチロックブレーキシステム)」などの安全装置も搭載されており、急ブレーキをかけた際にタイヤがロックして滑ることを防ぐ機能も搭載されています。

このように車が止まる仕組みは、ブレーキに関係する部品が挟み込んだり押し付けたりすることで、摩擦力を生み出し車を止めているのです。

こちらのコラムでは、車の安全装置について詳しく解説しているので、あわせて読んでみてくださいね。
車の安全装置にはどのようなものがある?種類と役割を解説!

車の構造はボディとエンジン・足回り・操作系の4つが基本!

ガソリン車はエンジンでガソリンを燃焼させて動力を得る一方、電気自動車は電気モーターで走行します。
ハイブリッドカーはその両方の特徴を生かした車です。

車が「走る」ためには、エンジンやモーターの力をタイヤに伝えるトランスミッションなどの部品が重要です。
「曲がる」ためにはハンドルの動きをタイヤに伝えるステアリング機構が、「止まる」ためにはディスクブレーキやドラムブレーキが必要です。

これらの部品がバランス良く機能することで、私たちは安全で快適なカーライフを楽しめます。

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