腐敗と発酵の違いとは?熟成もまた別のもの?



この記事について
私たちが日常的に口にしている味噌や納豆、ヨーグルトなどは「発酵食品」と呼ばれています。
一方で、食べ物が傷んでしまうことを「腐敗」と言います。
では、この「発酵」と「腐敗」の2つはどのように区別されているのでしょうか
また、「熟成」という言葉もよく耳にしますが、発酵や腐敗とはどう違うのでしょうか。
今回は、腐敗と発酵、そして熟成の違いについて、わかりやすく解説します。
このコラムは、私が監修しました!
教授前田 伸司Maeda Shinji生物系薬学 微生物学
私は、結核菌を含む抗酸菌について、①病原性に関わる因子の合成メカニズム、②治療薬に対する薬剤耐性機構および耐性菌の迅速検出法の開発、に関する研究を行っています。
細菌の種類やヒトの免疫状態によっては、感染しても発症しない場合があります。
一方で、ごく少量の微生物が侵入しただけでも高い頻度で発症を引き起こすものも存在します。
こうした違いには、微生物が保有する「病原性因子」の有無やその機能が深く関与していると考えられています。
私は、この病原性因子を探索し、その合成機構を明らかにすることを目指して研究を進めています。
また、近年では従来の治療薬が効かない薬剤耐性菌が増加しています。
薬剤耐性機構の解明は、耐性菌に有効な新規治療薬の開発に直結する重要な課題です。
私は、この耐性機構の解明に加えて、耐性菌を迅速に検出するための技術開発にも取り組んでいます。
目次
腐敗と発酵の違いは?熟成との違いも解説
腐敗と発酵、熟成の違いを見ていきましょう。
腐敗とは
腐敗は微生物(細菌、酵母、カビなど)の働きによって食品が変化し、人間にとって有害なものになる現象です。
例えば、牛乳を適切に保管せず放っておくと、好ましくない微生物が活動を始めます。
その結果、異臭がしたり味が悪くなったりして、食べられない状態になってしまうのです。
腐敗した食品を食べると、体調を崩す原因になります。
発酵とは
発酵も腐敗と同じく、微生物の働きによって食品が変化することによって起こりますが、発酵は人間にとって有益なものになることを指します。
例えば、ヨーグルトを作る際には、乳酸菌が乳糖という成分を分解することで乳酸が生まれます。
この乳酸によって爽やかな酸味がつき、おいしいヨーグルトになるのです。
さらに、酸性の環境になることで有害な菌の増殖が抑えられ、長く保存できるようになります。
また、発酵食品には、さまざまな健康効果があります。
発酵の過程でビタミンやアミノ酸などの成分が増え、微生物の分解作用によって体が吸収しやすい形に変化します。
味や香りも豊かになり、その結果、一部の栄養成分の利用効率が高まって健康に良い作用をもたらすことがあるのです。
つまり、人間の立場から判断して有益であれば「発酵」、有害であれば「腐敗」と呼ばれるのです。
なお、見た目や味、においに変化がなくても、有害な細菌やウイルスが付着することで、食中毒になる危険があります。
食中毒については「食中毒とは?原因や症状、予防法などを簡単に解説」で詳しく解説していますので、ぜひこちらも読んでみてくださいね。
熟成とは
熟成とは、発酵の工程が終わった後に温度や湿度をコントロールした環境で一定期間保管することで、味わいや品質をさらに高めることを指します。
例えば、味噌は麹菌による発酵の後、酵素の作用で熟成が進みます。
熟成させる時間の長さによって、完成する味噌の色や風味、香りに違いが生まれるのです。
チーズも熟成による変化が大きい食品です。
乳に乳酸菌や酵素を混ぜて発酵させた後、熟成の過程で乳に含まれる酵素や加えた酵素が働き続けることで、さまざまなタイプのチーズができあがります。
腐敗と発酵の判断ポイント

発酵か腐敗かを判断する基準は、主に「においや見た目」「文化的背景」「安全性」の3つのポイントから考えることができます。
においや見た目で判断する
発酵食品は独特の香りを持つものが少なくありません。
例えば、納豆は発酵食品特有の強い香りがありますが、これは有益な微生物の働きによるものです。
一方、腐敗した食品は不快な臭いがしたり、色が変わったり、ドロドロに溶けるなど、明らかに食べられない状態に変化します。
ただし、見た目やにおいだけでは判断が難しい場合もあります。
文化的背景による違い
発酵と腐敗の判断は、文化や習慣によっても異なります。
日本では親しまれている納豆や、強い香りを持つくさやなどの発酵食品も、海外の人からは腐った食べ物だと思われることがあります。
反対に、北欧で作られる塩漬けニシンの缶詰は、「世界で最も強烈なにおいを持つ食品」として知られており、日本人の多くは腐っていると感じるかもしれません。
このように、ある文化圏では「発酵」食品として認められているものでも、別の文化圏では「腐敗」したものと受け取られることがあります。
食べ物の好みは人それぞれで、生まれ育った環境や食べてきたもの、地域の食文化などに大きく影響されるのです。
安全性を確認する
発酵食品であっても、適切に保存しないと腐敗することがあります。
例えば、味噌や醤油は塩分濃度が高いため腐りにくいですが、甘酒のように糖分が多い発酵食品は、有害な菌の増殖を防ぐ成分が少ないため腐りやすい性質があります。
塩分やアルコール濃度が高い食品は、有害な菌の活動を抑える効果があるため比較的長持ちしますが、賞味期限をしっかり確認し、適切な管理を心がけましょう。
腐敗と発酵の違いを理解して安全に食品を楽しもう
腐敗と発酵は、どちらも微生物の働きによって食品が変化する現象ですが、その結果が人間にとって有益か有害かという点で区別されます。
腐敗は食品を有害なものに変えてしまう変化で、発酵は栄養価を高め、保存性を向上させる有益な変化です。
熟成は発酵後に風味や品質を向上させるプロセスで、時間をかけることで食品がよりおいしくなります。
発酵と腐敗の判断は、においや見た目だけでなく、文化的背景によっても異なることがあります。
正しい知識を持ち、適切に保存・管理することで、安全においしく発酵食品を楽しむことができるでしょう。
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