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トンネルはどうやって作る?代表的な作り方を解説!

人と社会2024.07.19

この記事について

トンネルは交通や輸送などをはじめ、インフラ整備に無くてはならない存在です。
山道を車で走る際や電車や地下鉄の運行などのほか、水路や備蓄などを目的としたトンネルなどもあります。


「トンネルはどうやって作っているのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
今回のコラムでは、トンネルの代表的な作り方4種類についてご紹介します。
日本のインフラ整備に欠かせないトンネル技術をぜひ知ってくださいね。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 工学部 都市環境学科

教授亀山 修一Kameyama Shuichi土木工学

私の研究対象は,皆さんが毎日使っている道路の「舗装」です。
研究テーマは、舗装の健全度診断(人では健康診断)、舗装の維持修繕(人では手術や治療)です。
舗装の健全度は、機能(路面の性状)と支持力(構造的な強さ)の両面から診断されます。路面性状は「ひび割れ」「わだち掘れ」「平坦性」の3要素で評価されます。支持力は、舗装に錘を落下させたときの路面の変形量を測定するFWDという装置で評価されます。
私の研究室では、室蘭工業大学と共同で、走行する乗用車に取り付けたウェアラブルカメラ(GoPro)で撮影した動画からAIによって路面性状3要素を評価するシステムHibiMiru(ヒビミル)を開発しました。HibiMiruは、「ひび(割れ)を見る」と「日々診る(点検する)」のかけ言葉です。現在、北海道内の全ての国道(延長7,000km)で用いられています。
現在は、雪解け時期に発生する道路の穴ボコ(ポットホールと言います)がどこで発生しやすいのかを予測して事前に補修する「舗装の予防保全的な維持管理方法」や車を運転する人が見通せる距離(視距と言います)の新たな評価方法などについて研究しています。

トンネルはどうやって作る?トンネルの歴史もチェック!

海や砂場で、砂山にトンネルを掘って崩れてしまった経験はありませんか?
トンネルはどうやって作るのか気になりますよね。

トンネルの作り方で主に採用されているのは以下の4種類です。

  • 山岳工法
  • シールド工法
  • 開削(かいさく)工法
  • 沈埋(ちんまい)工法

どの工法で作るかは、トンネルを作る場所や土地の状態、地盤の固さなどによって異なります。
それぞれの具体的な工法は、のちほど詳しくご紹介しますね。

トンネルの歴史

世界最古のトンネルは、約4,000年前に作られたユーフラテス川の水底トンネルといわれています。
川の下を通ってバビロニアの宮殿と神殿をつなぐ約950mものトンネルだったそうです。
ただし、そういった記録はあるものの実際のトンネルの跡は発見されておらず、伝説のトンネルともいわれています。

一方、日本で最初のトンネルといわれているのは1764年に完成した大分県の「青の洞門」です。
こちらは、ノミと鎚(つち)だけで山を堀り、約30年かけて完成させた144mのトンネルです。

また、近代技術で掘られた日本初の鉄道トンネルは、1870年着工、1871年完成の大阪~神戸間をつなぐ61mの石屋川トンネルです。

日本は山や川が多い国なので、鉄道や道路を広げるためにもトンネルの技術は必須!
苦労や研究、努力を積み重ね、現在は世界でも有数のトンネル技術を持つ国になっています。

トンネルの作り方を工法別に詳しく紹介!

トンネルの工事

先ほど紹介した4つのトンネルの作り方について、具体的にどんな工法なのか、どういったトンネルで用いられるのかなどを詳しくご紹介します。

山岳工法

機械やダイナマイトなどを使って横向きにトンネルを堀り進みながら、同時にトンネルが崩れてこないように鋼製枠やコンクリートなどで補強していく方法です。

現在は山岳工法の中でもヨーロッパから入ってきたNATM(ナトム)工法が標準工法で、鋼製の枠やボルト、吹付コンクリートなどでトンネルを補強します。

山岳工法は岩盤などのかたい地盤にトンネルを掘るのに適していて、山の中を通る道路や線路など一般的なトンネルで主に採用されます。

シールド工法

シールドマシンと呼ばれるトンネル大の筒形の機械でトンネルを掘る方法です。
シールドマシン先端のカッタービットが回転して岩盤や石、土などをゆっくり掘り進み、掘った後にはセグメントと呼ばれるパネルをはめ込んでトンネルを作ります。

平地や都市部の地下、水の底などのやわらかい地盤に、地下鉄や下水道トンネルなどを掘る際に主に採用されます。

開削(かいさく)工法

地面を掘り返して開けた状態でトンネルを作り、トンネルが完成したら地面を埋め戻す工法です。
現場でコンクリートを打設してトンネル(躯体)をつくる方法と、躯体を別に作っておいて開削した箇所に設置する方法があります。

オープンカット工法、露天掘りなどと呼ぶこともあります。

都市トンネルの標準工法として、地下街や地下鉄をつくるときによく採用されてきました。
近年は、東京や大阪などの大都市の地下は、地下鉄や道路が複雑に張り巡らされているので、地下深くにトンネルを掘る必要も増えており、開削工法よりもシールド工法が使われることが多くなっています。

沈埋(ちんまい)工法

海や川など水の中にトンネルを作る際に用いられる工法です。
コンクリートなどでトンネルとなる箱型の構造物(躯体)を作っておき、それを海や川の底に沈めて並べ、つなぎ合わせてトンネルを作ります。
トンネル形状の自由度が高いのが特徴です。

海底トンネルの工法として一般的で、地盤が弱い海底や川底に大きな断面のトンネルを作ることができます。

トンネルの作り方は主に4種類!どうやって作るか知ろう

トンネルの作り方には主に4種類の工法があり、場所や地盤条件、トンネルの用途などによって適した作り方が採用されます。

穴を掘って壁を補強することを繰り返しながら進む「山岳工法」、シールドマシンを使って掘った後すぐにセグメントをはめて壁を補強して進む「シールド工法」、地面を掘り返してコンクリートなどで躯体を作り、完成したら埋め戻す「開削工法」、陸上で作っておいた躯体を水中に沈めてつなげる「沈埋工法」の4つです。

日本は山や川が多い国で、インフラを広げるためにもトンネル作りは重要な技術。
今では世界有数の高度なトンネル技術を持つ国に成長しています!

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