車の安全装置にはどのようなものがある?種類と役割を解説!



この記事について
皆さんは普段何気なく乗っている車に、どんな安全装置が搭載されているかご存知でしょうか?
近年の自動車技術の発展により、さまざまな最先端の安全装置が開発され、私たちの安全を守ってくれています。 これらの安全支援システムを搭載した自動車を先進安全自動車(ASV:Advanced Safety Vehicle)と呼びます。
特に最近では、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の装着が義務化され、交通事故の減少に大きく貢献しています。
今回は「車の安全装置」について詳しくご紹介したいと思います。
車の安全装置の重要性や種類・役割について理解しましょう。
このコラムは、私が監修しました!
准教授北川 浩史Kitagawa Hiroshi機械工学
私の所属する研究室は「エンジンシステム研究室」といいます。エンジン(内燃機関)から排出される有害物質の低減や、軽油(化石燃料)に代わる代替燃料に関する研究を主に進めています。
また、私は自動車整備士の資格も持っているので、企業から持ち込まれる「自動車」に関する案件にも対応しています。その中には、いわゆるエンジンを持たない電気自動車の「電費」に関する研究だったり「自動車のラジコン化」といった研究もあります。
そうかと思えば、学内では「1926年製T型フォード」のプロジェクトメンバーでもあります。約100年前の自動車ですが、学ぶところが多くとても楽しいです。学内に常設展示していますので、ぜひ見に来てください!
目次
車の安全装置の重要性
車の安全装置は、交通事故による死傷者数を減らす重要な装置です。
安全装置には、運転者や同乗者を事故の衝撃から守るもの、車と接触した人や車への衝撃を和らげるものなど、さまざまな種類があります。
近年は、死傷者数の減少や未就学児の安全確保、高齢運転者の事故防止を目的に、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の装着が義務化されました。
衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の装着の義務化
衝突被害軽減ブレーキは、車の前部に取り付けられたセンサーが前方の車や障害物を検知し、衝突の危険が高まると警報としてドライバーに音や警告灯で回避行動を促すものです。
このときドライバーが回避行動を行わない場合、ドライバーに代わり自律自動ブレーキが作動します。
センサーは大きく分けて3種類です。
単眼カメラの広い視野で人や先行車を認識するタイプや、ミリ波レーダーで夜や雨など視界の悪い時でも検知できるタイプ、左右の2つのカメラにより人の目と同じように距離を把握できるステレオカメラのタイプがあります。
衝突被害軽減ブレーキの搭載義務化は以下のスケジュールで進められています。
- 国産車の新型車:2021年11月から
- 輸入車の新型車:2024年7月から
- 国産車の継続生産車:2025年12月から
- 輸入車の継続生産車:2026年7月から
衝突被害軽減ブレーキの搭載義務化により、ドライバーの安全運転をより確実に支援できるようになります。
今の車と昔の車の違いを詳しく知りたい方は、「今の車と昔の車の違い!知れば驚く自動車の進化」をご参考ください。
車の安全装置の種類

車の安全装置は、想定する事故と装備目的によって、さまざまな種類があります。
大きく「パッシブセーフティ」と「アクティブセーフティ」の2つに分かれます。
それぞれどのような安全装置があるか見ていきましょう。
パッシブセーフティ
パッシブセーフティとは、事故発生時の被害を最小限に抑えるための安全装置です。
運転者や同乗者だけではなく、接触する相手となる車や歩行者への被害も抑えます。
代表的なパッシブセーフティについて解説していきます。
衝撃吸収構造ボディ
事故の衝撃を分散・吸収する車体構造で乗員と歩行者を守ります。
接触するとボンネットが開き、歩行者への衝撃を緩和する車種もあります。
3点シートベルト
肩と腰の左右を固定するシートベルトです。
事故発生時に乗員が車内で激しく打ち付けられたり、車外へ投げ出されたりするのを防ぎます。
SRSエアバッグ
衝突を感知し、ガス発生装置(インフレーター)によって膨らませた袋で乗員の衝撃を緩和します。
前方からの衝撃に対応する「フロントエアバッグ」と側方に対応する「サイドエアバッグ」、頭部側方に対応する「カーテンエアバッグ」などがあります。
エアバッグの頭についている「SRS」は「Supplemental Restraint System(補助拘束装置)」を略したものです。
エアバッグは拘束装置であるシートベルトを補助するものとして備えられており、シートベルトだけでは防げない衝撃を軽減します。
チャイルドシート
シートベルトが利用できない乳幼児を事故の衝撃から守ります。
6歳未満の乳幼児への着用が義務付けられています。
アクティブセーフティ
アクティブセーフティとは、事故を未然に防止するための安全装置です。
アクティブセーフティには、事故を自ら防止するためのクラクションや、危険を検知した車が自動で操作するものがあります。
代表的なアクティブセーフティについて、紹介していきます。
衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)
前述の衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)は、アクティブセーフティに該当します。
レーダーなどで前方の車や歩行者を検知し、警報で運転者へブレーキを促す、または自動でブレーキ操作を行います。
ABS(アンチロック・ブレーキシステム)
急ブレーキでのタイヤロックを防止し、急ブレーキ時でもハンドルの操作を可能にして障害物を回避することが出来ます。
誤発進抑制機能
前方に障害物がある状態でアクセルを踏んだ場合の急発進を抑制します。
アクセルの踏み間違いによる事故を防止でき、停車時や低速時に作動するものが多いです。
車線逸脱抑制機能
車が車線からはみ出しそうになった際に警報でハンドリングを促す、または自動でハンドル操作を行います。
方向指示器を操作すると、基本的に作動しません。
車間距離制御装置(ACC)
前走車に合わせて加速減速をして追従走行(先行車両を検知し、その速度や車間距離に合わせ、自車を自動的に加減速する)をします。
ドライバーのアクセル操作によって加速させることも可能です。
ブレーキ操作を行うと追従走行は解除されます。
隣の車線から割り込みがあった場合は、適正な車間距離確保のため減速します。
リアビークルモニタリングシステム
車の後ろに取り付けられたセンサーが、ドライバーの見えない斜め後ろの車を検知します。
車内の警告ランプが点灯してお知らせし、もしドライバーがその警告に気づかずに車線変更をしようとすると、音や光で危険を教えてくれます。
自動切替型前照灯(オートハイビーム)
光学式カメラセンサーによって周囲の明るさを認識し、ハイビームとロービームを自動的に切り替えます。
ロービームへの切り替え忘れによる、対向車や先行車の眩惑(目がくらんで、まどうこと)を防げます。
ハイビームによって歩行者の発見が早まるなど、夜間の事故防止にも貢献します。
このような安全性能は、パッケージ化している自動車メーカーがほとんどです。
トヨタであれば、「Toyota Safety Sense」、ホンダでは「Honda SENSING」と呼ばれています。
各メーカーによってパッケージの名称や性能が異なることを把握しておきましょう。
車の安全装置は安心のカーライフの強い味方!
車の安全装置は、事故を減らすための重要な装備・性能です。
中でも衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の搭載は、義務化が進められています。
安全装置には大きく分けて「パッシブセーフティ」と「アクティブセーフティ」の2種類があります。
パッシブセーフティは事故が起きた「後」の被害を最小限に抑える装置で、衝撃吸収ボディやエアバッグ、シートベルトなどが該当します。
一方、アクティブセーフティは事故を未然に防ぐ装置で、搭載の義務化が進められている衝突被害軽減ブレーキをはじめ、ABS、誤発進抑制機能、車線逸脱警報装置などが含まれます。
このような安全装置は、各自動車メーカーによってパッケージ化されており、名称や性能なども各社さまざまです。
安全装置の機能を過信してはいけませんが、現代の車には事故から人々を守る工夫が満載です。
車に乗るときは、その安全機能にもぜひ注目してみてくださいね。
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