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ロシアに伝わる妖怪とは?歴史や種類を紹介!

人と社会2026.04.28

この記事について

「妖怪」というと、皆さんは何を思い浮かべますか?

日本の妖怪といえば、鬼、河童、天狗をはじめ、座敷わらし、ぬらりひょん、小豆洗い、人を化かす狸や狐、それに「うらめしや~」といって出てくる幽霊などが有名ですね。
あるいは、ポケモンや妖怪ウォッチに登場するような、カラフルで可愛い妖怪たちの姿を思い浮かべる人も多いかもしれません。

では、外国にはどんな妖怪がいるのでしょうか?

今回は、地理的には日本のお隣・世界最大の大きさを誇るロシアに伝わる妖怪について紹介します。

このコラムは、私が書きました!

北海道科学大学 未来デザイン学部 人間社会学科

准教授塚崎 今日子Tsukazaki Kyoko文学 文化人類学

プーシキン、ドストエフスキーやトルストイなどといった、19世紀のロシア文学を原文で読みたいと考え、大学に入学しました。ところが、ロシア語の授業で先生が話してくださるロシアの妖怪が面白すぎて、気が付けばフォークロア(口承伝承)研究に首までドップリ浸かっていました。

文献研究が中心ですが、自分でもロシアの農村に行き、お年寄りたちから古来伝わるお話や歌、伝統的な生活スタイルについてうかがい、記述として残し、その背景にある世界観を考えたり、他の地域との類似について考察したりしています。
大学入学時には、まさか自分がこのような研究に携わることになるとは、夢にも思っていませんでした。

このように、とりあえず目の前にあることに取り組んでいると、また違う風景が拓けてくる、ということがあります。皆さんにも、大学の学びを通じていろいろなことに出会えてもらえればと思います。

ロシアに伝わる妖怪の歴史

その昔、ロシア人のご先祖であるスラヴ人は、森や河川、畑や家など、さまざまな場所に棲む小さな神々の存在を身近に感じながら暮らしていました。

ところが、10世紀ころキリスト教が入ってくると、それらの小さな神さまたちは、一神教の「神」に敵対するよからぬ存在と考えられるようになりました。
そして次第に、いわゆる神様ではないけれども不思議な力を持つ存在、つまり「妖怪」と見なされるようになったと考えられています。

その後、時代を経て、ロシア帝国、ソビエト連邦、そして現在のロシアと、国の形は変わりましたが、かつての小さな神々は「妖怪」として、人々の暮らしのなかで語り伝えられてきました。

ご存じのとおり、ロシアにはさまざまな民族が暮らしています。
各々の民族特有の妖怪たちもいて、お互いに影響を与え合ったりしています。

これらの妖怪たちは、ほかの国や地域の妖怪と同じく、生きるうえでの教訓のようなものを教えてくれたり、危険を知らせたりしてくれる存在でもあります。
妖怪たちの伝承をとおして、広大なロシアという地に住む人々の自然に対する畏敬の念を感じることができるのです。

ロシアの妖怪をチェック!

シベリアの景色

ロシアにはさまざまな妖怪がいますが、ここでは10種類をご紹介します。

バーバ・ヤガー

バーバ・ヤガー
バーバ・ヤガー

日本の昔話に山姥(やまんば)がよく登場するように、ロシアの昔話には「バーバ・ヤガー(ヤガー婆さん)」と呼ばれる老婆がよく登場します。

絵本にもなっているので、聞いたことがある人、どんな姿か知っているという人もいるのではないでしょうか。

バーバ・ヤガーは、一言でいえば魔女です。
森の奥深く、鶏の足が生えた小屋に住み、臼(うす)に乗って空中を移動するといわれます。

人助けをすることもあれば、人食い魔女にもなるという、善と悪の両面を持つ奥の深い存在です。

ヴォジャノイ

ヴォジャノイ
ヴォジャノイ

水辺に現れ、人間の足を引っ張って溺れさせる、日本の河童のような妖怪です。
ヴォジャノイに連れ去られないよう、一定の日は泳いではいけないと言い伝えられている地域もあるそうです。

洪水や干ばつなど、水にかかわる災害はヴォジャノイのせいともいわれます。

ルサールカ

ルサールカ
ルサールカ

ルサールカは、初夏の一週間のみ、水の中から地上にあらわれるといわれる、女性の姿をした妖怪です。
溺れ死んだ娘や、洗礼を受ける前に死んだ子どもなど、自らの生を全うできなかった人たちが、死後ルサールカになると考えられました。

絶世の美女だったり、逆に、とても醜いおばあさんの姿をしているといわれます。

ルサールカは、人間の男をくすぐり殺そうとしたり、水の中に引きずり込もうとしたりする恐ろしい妖怪です。

キキーモラ

キキーモラ
キキーモラ

家にすむ、女性の妖怪です。
おばあさんの姿をしていたり、小さな女の子だったり、ときには豚や犬、鶏や鴨の姿で現れるといわれます。

いたずら好きで、鍋を投げたり叩いたり、家の人が寝るのを邪魔したり、煙突口の蓋をパタパタさせたり、いわゆるポルダーガイストを起こす存在と考えられています。

バンニク

バンニク
バンニク

ロシアでは、伝統的にサウナを炊いて入浴します。
家屋とは独立したサウナ小屋に住みついている妖怪がバンニクです。

夜中にお風呂に入るといたずらをされるといわれますが、吉凶を占ってくれるともいわれています。
お風呂を出るときには、バンニクのためにお湯を残しておかなければならないといわれます。

バンニクの入浴を邪魔すると、熱湯を浴びせられたり、首をしめられると考えられています。

レーシー

レーシー
レーシー

森や森に住む動物たちを支配する妖怪で、草と同じくらいの小さい背丈にもなることもできれば、樹木と同じくらい大きくなることもできます。
森のなかをうろつき、人を道に迷わせたり、さらったりします。

レーシーから身を守るには、服を裏返しにして着たり、靴を左右逆に履いたりするとよいといわれます。

ただし、10月4日は「レーシーが手が付けられなくなる日」とされ、この日はどんな撃退方法もきかないため、絶対に森に入ってはいけません。

ドモヴォイ

ドモヴォイ
ドモヴォイ

家や家族を守ったり、家の仕事を手伝ったりしてくれる妖怪です。
家を守るご先祖様のような、わが家の守護霊というイメージがあります。

寝ているとき、体の上にドモヴォイが乗っかってきたら「吉か凶か?」を尋ねるとよいでしょう。今後の運勢を教えてくれるからです。

基本的には人間に対して親切な妖怪ですが、気に入らない家族や家畜にはいたずらをするといった一面も持っています。

ポルードニツァ

ポルードニツァ
ポルードニツァ

「白昼の悪魔」ともいうべきポルードニツァ。
真昼のライ麦畑に現れる妖怪で、白い服を着た美しい女性の姿をしているといわれます。

真夏の昼間に働く人々を襲い、日射病を引き起こすといわれています。
その特徴的な持ち物は巨大なフライパンや大鎌で、それを振るって人に襲い掛かってくるといわれます。

シュリクン

シュリクン
シュリクン

冬のクリスマスシーズンに、凍結した川を割ってつくった穴から地上に出てくるシュリクン。

とんがり帽子をかぶった小さな子どもたちの姿で、あちこちうろつき回っていると考えられています。

シュリクンも熱々のフライパンを持っているといわれます。
かつて、小さな子どもたちは、「遅くまで外をほっつき歩いていると、シュリクンにフライパンの上で焼かれてしまうぞ!」と大人たちから脅かされたそうです。

チョールト(悪魔)

チョールト(悪魔)
チョールト(悪魔)

ロシアにおける「悪魔」のイメージは複雑です。

そもそもロシア語で悪魔に当たる単語自体、「サタナー」「ヂヤーボル」「ベース」「チョールト」等といくつもあります。
これらは明確に区別するのは困難です。

前者2つはキリスト教的な「(神に対する)悪魔」の意味合いで使われることが多く、最も総合的な意味合いの強い「ベース」という表現は、キリスト教的「悪魔」の意味でも使われれば、広く妖怪全体に対して使われることもあります。

「チョールト」も複雑な存在ですが、口承伝承においては、他の悪魔より格下で、失敗などもして憎めない存在として描かれることが多いです。
そのイメージは、『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などといった長編小説で日本でもよく知られるレフ・トルストイの創作民話『イワンの馬鹿』に登場する、小賢しくもどこか間抜けな小悪魔の姿に鮮やかに反映されています。

ロシアの妖怪を知ると自然への畏敬の念や文化的背景も感じられる!

ロシアの妖怪は、悪魔やおばけ、幽霊、精霊など、バラエティに富んでいます。
広大な面積を誇るロシアの妖怪にまつわるお話には、そこに住むさまざまな民族の文化や生活スタイルも反映されているため、複雑かつ豊か。

日本でもロシア民話として馴染みの深いバーバ・ヤガーや、トルストイの創作民話に登場する、どこかにくめない悪魔チョールトなども、妖怪の仲間です。
その国の妖怪たちの姿を知ることで、そこに暮らす人々の自然や暮らし、命についての考え方、また、豊かに暮らすための知恵を知ることができるかもしれません。

ロシアの妖怪を知るなら、ロシア語を知るともっと楽しい!

北海道科学大学未来デザイン学部人間社会学科の塚崎 今日子准教授が、今回のコラムに関連する「はじめてのロシア語」の講座を行なっています。

ロシア語のアルファベット、簡単なあいさつなどについて解説しますので、ロシアについてさらに深掘りしたい方のご参加をお待ちしています!

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