VRの活用事例を徹底解説!VRで可能になることと将来性をチェック
この記事について
近年、さまざまな業界でVRを活用した取り組みが広がっています。
VRとはVirtual Reality(バーチャルリアリティ)の略称で、現実世界と似た仮想空間を指します。
VR用のゴーグルなどを使用して、目の前に広がる世界を楽しめる点がVRの魅力です。
しかし、VRの存在自体は知っていても、実際にどのような場面で使われているかわからない人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、VRを活用した事例を紹介し、どのような場面で役立てられているかを解説します。
また、将来性についてもお話しするので、VRについての理解を深めていきましょう。
このコラムは、私が監修しました!
教授趙 領逸Cho Youngil
私の普段の研究内容は「複合現実技術を用いたコミュニケーションデザイン」です。
私の研究室では、現実の物体と仮想のデジタル情報を活用し、新しい世界を構築する技術である、複合現実を用いた、コミュニケーションデザイン研究をしています。
オンライン電話や映像など、遠隔コミュニケーション媒体や手段の多様化は、仮想か現実かという2文法的思考に基づく空間でなく「仮想×現実」といった、コミュニケーション空間の拡張をもたらしました。
本研究室では、仮想現実や拡張現実技術から進化した複合現実技術を活用し、明確かつ効率的に活用可能なコミュニケーションができる「複合現実空間」を構築することで、対面コミュニケーションの出来ない状況でも、明確かつ効率的なコミュニケーション空間のデザインを提案して、体験した価値の定量化までを検討することで、対面有無に影響されない質の高い教育および業務環境への実践的展開や向上に取り組んでいます。
目次
VRで可能になることとは?
仮想現実を作り出し、現実世界ではなかなかできないような体験ができるVRですが、実際にどのようなことができるのでしょうか。
まずは、VRを使う目的やどのような分野で活用されるのかを詳しく見ていきましょう。
VRを利用する目的とは?
VR映画やゲームの世界といった仮想空間(メタバース)に自分がいるかのような体験や、普段の生活ではなかなか味わえないような体験を提供することがVRの主な目的です。
しかし、それだけでなく現在は企業や医療現場などでもVRを使った取り組みも増えてきています。
仕事上での危険な作業をVR上で体験し、安全管理の大切さを学んだり、実際に手術を行っている様子を見て学ぶ、といったことにも活用できます。
現実と同じような感覚で仮想空間上で体験できる点が特徴なので、遊びや教育、仕事などさまざまなジャンルでの利用にぴったりのツールといえるでしょう。
VRの活用でできること
VRはさまざまな分野で活用されており、今後もさらなる広がりが予想されます。
ここでは、どのような分野でVRを使うことができるのか、詳しく見ていきましょう。
教育分野
学校教育でVRを活用することで、学習面において子どもたちの学習意欲の向上に役立てられます。
例えば、歴史の授業では縄文時代や弥生時代、江戸時代など、現実には行くことのできない時代に、VRを使って当時の生活に触れることができます。
時代ごとの食文化や政治、遊びなど、さまざまな出来事をVRを通して学ぶことで、教科書には載っていないような細かい部分も学習が可能です。
また、実験など危険を伴うものを扱う授業でもVRの映像であれば安全に取り組めるため、なぜ危険であるかや正しい使い方を学ぶ際にも役立ちます。
スポーツ・エンターテイメント
VRはスポーツやエンターテイメント分野でも活用されています。
VRが登場する前は、チケットを購入しライブ会場やスタジアムまで行くか、テレビ中継を見るしか方法がありませんでした。
しかし、VRが登場してからは楽しみ方の幅が一気に広がることに。
スポーツを観戦する際にVRゴーグルを装着すると、実際にスタジアムにいるかのような感覚を味わうことができ、迫力あるプレーを楽しめます。
また、エンターテイメント分野では、たとえばアーティストのライブをVRゴーグルを使って、目の前でアーティストが歌っているというような体験を味わえます。
視界が360度スタジアムやライブ会場になるため、自宅にいながら迫力のある体験ができる点はVRの魅力的な部分といえるでしょう。
旅行体験
子どもの頃に訪れた思い出の場所や、まだ一度も行ったことのない場所なども、VRを使うといつでも旅行気分を味わえます。
VRゴーグルを装着すれば、すぐに目の前にきれいな海や美しい街並みなどがリアルに広がります。
また、大手旅行会社ではVRを活用したリゾート地の疑似体験サービスを提供しているケースも。
旅行に行く前に事前に宿泊するリゾート地を見ておくことで、現地に行ったときに写真と違って後悔してしまう、ということも防げます。
このように、観光分野においてもVRは大きな役割を持っています。
VRの活用事例を紹介!
VRを活用した取り組みは年々広がりを見せており、民間企業などでも積極的に取り入れているケースがあります。
ここではVRの活用事例を紹介し、どのような方法で使われているのかを解説します。
ビジネスシーンでの活用
業務を円滑に進めるためにVR出社やVR会議を行ったり、デザインや開発のプロセスを共有して簡易化したり、研修に活用したりと、さまざまなビジネスシーンで活用されています。
社員同士が家にいながら仮想空間(メタバース)でアバターを通じてコミュニケーションを取ったり、会議室を設けてホワイトボードを使用して会議をすることも可能です。
※アバター=仮想空間上に登場させるユーザーの分身
メタバースの詳細は「仮想空間「メタバース」とは?メリット・デメリットをわかりやすく!」も参考にしてください。
また、デザインや開発のプロセスをVRで多くの人に共有できるので、効率よく進めることができます。
研修では調理・制作・操作方法などをリアルに体験でき、接客のシミュレーションを何度も行うこともできるので、リスクを伴わず実践に役立つスキルを身につけられます。
たとえば、今まで飛行機の新入客室乗務員育成では機内を再現した模型で行っており、一度に行える人数が限られていましたが、VRであれば何人であっても行える上、通常の研修ではできなかった非常事態の訓練も可能になるなど、大きく貢献しています。
医療現場での活用
ビジネスでの活用はお伝えしましたが、特に医療でのVRの活躍は目覚ましいです。
VR映像で時間・場所にとらわれず手術シミュレーションを行えたり、患者の状態の3D画像を手術スタッフが共有しながら手術をすることもできます。
たとえば、患者のCTやMRIの診断画像から作成した臓器や血管の3D画像を自在に操り、メスを入れる箇所をより正確に確認できるようになったのは大きな進歩です。
医療研修でVRを活用する場合、救急医療の対応や患者への診察、手術中の現場の様子などを体験できます。
研修というと、映像やテキストを使って医療現場での仕事内容を学ぶケースがありますが、VRを使うと現場でのよりリアルな状況を体験しながら学べます。
研修での使用のほかに、病気の症状をVRを利用して体験することも可能です。
実際の事例では、統合失調症患者の様子をVRで体験できる取り組みが行われています。
幻聴や他人から感じる視線など、統合失調症の患者が抱えている症状を体験することで、病気に対する理解を深められるきっかけにもなります。
また、PTSDや恐怖症を克服するために、VRで恐怖を抱いている対象にあえて直面させることで慣れさせ、普段の過剰反応を和らげていく方法も進んでいます。
物件探しでの活用
物件を探す際にもVRの活用は効果的です。
お部屋探しをするときに気になった物件を見学しますが、これまでは実際にお部屋のある物件まで行く必要がありました。
しかし、VRを使うことで自宅にいながらでも見学できるようになり、1日に複数の物件を内覧することも可能です。
写真であっても、お部屋の中は確認できますが、細かい部分は見えず実際に住んでいるイメージがつきにくい点がデメリットです。
その点、VRはお部屋の中を隅々まで見渡せるため、住み始めたときのイメージもしやすいでしょう。
不動産会社にとってもスケジュールが立てやすいため、業務を効率的に進めやすいというメリットもあります。
ショッピングでの活用
現在ではネットショッピングの利用は当たり前となっており、いつでもどこでも気に入った商品を購入できる環境があります。
そのネットショッピングにもVRの活用が広がっており、自宅にいながらでも実際にお店の中にいるような感覚でショッピングが可能です。
気になった商品の見た目や素材感など細かい部分もしっかり確認できるため、実際に商品が届いてから実物とのギャップを感じることは少なくなります。
海外の店舗で欲しい商品を見つけたけれど、店舗まで行くことができずに購入できない、という思いをせずにVR上の店舗で購入できる点もメリットです。
トレーニングシステムでの活用
VRはプロ野球でも活用されています。
相手チームの選手を分析する際、映像やスタッフがまとめた情報を参考にしますが、近年ではVRを使用して実際に打席に立ったときの視点から、相手選手のプレーを見られるようになっています。
これまでは、打席からではなくバックネット裏から撮影されたものを使用していたため、相手がどのようなボールを投げるのか、イメージがしにくいといったデメリットがありました。
しかし、VR上で打席からの視点で見ることで、試合さながらの状態で体験できるように。
その結果、打席でのイメージがしやすくなり、得点力アップにつながっているようです。
ゲームでの活用
VRを取り入れたゲームでは、臨場感のある体験を楽しむことが可能です。
日本だけでなく世界でも人気を誇るホラーゲームでは、過去に発売された作品をVR用にリメイクしています。
本来はキャラクターをテレビ画面を見ながら操作していましたが、VR版ではキャラクターと同じ視点で向かってくる敵を倒していく爽快感が味わえます。
武器を変更する際もメニューを開かずにプレイ画面のままでできるため、作品の雰囲気を損なうこともありません。
ホラーゲームだけでなく、モンスターを捕まえたり倒したりするゲームや、壮大なRPG、エクササイズやリズムのゲーム、何かを作り出すゲームなど、ジャンルも増えています。
現実世界では味わえない恐怖体験が目の前で感じられるため、今までにない没入感を楽しめるでしょう。
VRの将来性は?
VRは今後も市場が広がっていくことが予想されており、現在よりも多くの業界での利用が期待されています。
具体的には、リサーチ会社のIDCによると、2022年にVRの市場は約1.8兆円に達し、2026年には約6.9兆円に増加する見込みだそうです。
ただし、VRヘッドセットの出荷台数は54.4%減っており、ハードウェアの面では少し伸び悩んでいます。
現在、VR用ヘッドセットは長時間装着するには身体への負担が大きいデザインですが、その進化はすぐには難しいでしょう。
しかし、VR機器の軽量化や小型化は確実に進んでいます。
現在よりもコンパクトになり、体への負担が軽くなれば、さらに市場の拡大は期待できるでしょう。
一方で、ソフトウェアは規模の拡大が期待されています。
また、今後VRを活用する業界が増えていくことで、調査や設計、プレゼンといった実務作業に使われるケースが出てくるとの期待もあり、まだまだ伸びしろのある市場といえます。
VRの活用事例を参考にVRを身近なものに感じよう
ゲームや映画でよく使われているイメージのあるVRですが、企業や医療現場などさまざまな分野で活用される機会が広がっています。
VRは現実世界と同じような仮想空間を作り出すことができるため、歴史の授業において過去の時代で起こった出来事に触れられるほか、危険な作業をVRを通して体験できるといったものにも利用可能です。
また、ネットショッピングで実際の店舗の映像をVR上に映し、自宅にいながら店舗内でお買い物をしているかのような感覚でショッピングが楽しめる点もVRの魅力です。
VRは今後も市場の拡大が予想されており、現在はまだ行われていない取り組みが生まれることも予想されるため、将来性十分な市場といえるでしょう。
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