仮想空間「メタバース」とは?メリット・デメリットをわかりやすく!

テクノロジー2023.11.22

この記事について

テクノロジーの急速な進化により、新たなサービスが次々と登場している現代。
その中で注目を集めるのが、「メタバース」と呼ばれる仮想空間です。
メタバースは、現実世界とは異なる空間で人々がコミュニケーションや活動を行い、さまざまな体験を共有する場となっています。

今回のコラムでは、メタバースの概要や注目されている理由をわかりやすく解説。
VRとの違いやメタバースが活用されている具体例なども紹介していきます。
現実世界と仮想空間が交差する新しい技術をぜひ知っていきましょう。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 工学部 情報工学科

准教授和田 直史Naofumi Wada知覚情報処理

映画「スターウォーズ」では、ロボットが立体映像を目の前に映し出す有名な場面があります。この場面を見て映像に関する研究に興味を持った人は多いかもしれません。もちろん、私もその一人です。私が専門とする画像・映像分野の研究は、「人がどのようにモノを見ているのか?」「見た目が人にどのような印象を与えるのか?」など人間の知覚に関する研究でもあります。VRやメタバースにおける3次元的な映像表現は、我々に驚きや感動、ワクワク感を与えてくれます。空を飛んだり、瞬間移動したり、現実ではありえないことも実現可能なメタバース。そこで大事なのは想像力であり、創造力です。是非皆さんがワクワクするような世界を思い描いてみてください。

仮想空間メタバースとは?わかりやすく解説!

メタバースとは、インターネット上に構築された3次元仮想空間のこと。
「超越」を意味する「メタ」と、「世界」を意味する「ユニバース」をかけ合わせた造語です。

メタバースには現実世界と同じように3DCGで作られた建物や部屋があり、利用者は自分の分身である「アバター」を使って自由に散策をしたり、ほかのユーザーとコミュニケーションをとったりと自由に活動します。
アバターは好みの外見に作りこんだり、洋服やアクセサリーを身に着けたりもできますよ。

わかりやすい例を挙げると、大ヒットゲームの「あつまれ どうぶつの森」はメタバースの要素を含んだゲームです。
「あつまれ どうぶつの森」では、ユーザーは好きなキャラクター(=アバター)を選び、メタバースの世界で個性豊かな動物たちと一緒に暮らしていきます。
ゲーム内では、周りのキャラクターやユーザーとコミュニケーションをとったり、DIYで家を建てる、釣りを楽しむ、お金を稼いで買い物をするなど、現実世界と同じような体験を楽しむことができます。

メタバースとVRの違い

メタバースは日本語で「仮想空間」、VR(バーチャルリアリティ)は「仮想現実」と呼ばれるため、この2つを同じものだと思っている人もいます。

VRは、専用のゴーグルを使って360度の立体映像や立体音響を体験する仕組みのことです。

メタバースはインターネット上に構築された空間ですが、VRはインターネット上とは限りません。
また、VRを体験するためにはゴーグルなどの専用機器が必須なのに対し、メタバースはスマートフォンやパソコンなどでも利用が可能です。

なお、VRデバイスを利用してメタバースをさらに臨場感・没入感たっぷりに体験することもできます。

VRの詳しい説明や具体的な活用事例は「VRの活用事例を徹底解説!VRで可能になることと将来性をチェック」のコラムでもご紹介していますので、ぜひ読んでみてくださいね。

メタバースが注目されている理由

メタバースの概念自体は、1992年にアメリカで出版されたSF小説「スノウ・クラッシュ」ですでに登場しています。
2000年代には世界初のメタバース「セカンドライフ」がアメリカでリリース。

メタバースは意外に古くからある概念・仕組みなのですが、2020年代に入りさまざまな関連技術が急速に発展したことにより、より身近な分野にも取り入れられるようになります。
先ほど紹介したVR技術の発展やVRデバイスの軽量化・値下がりなども、メタバースの普及を加速化しました。

また、コロナ禍によりリモートワークが広がり、オンラインミーティングなどにメタバースを利用する企業も増え、さまざまな分野での用途がさらに拡大しました。

メタバースの活用事例とは?

メタ―バースが活用されている分野や事例をご紹介します。

ゲーム

メタバースが最も活用されているのはゲームの分野といえるでしょう。
先ほどご紹介した「あつまれ どうぶつの森」のほか、ブロックで構成された3Dの仮想空間の中で冒険や建築を自由に楽しむ「マインクラフト」、複数ユーザーでバトルロワイアルを楽しむ「フォートナイト」などが有名です。

ビジネス

メタバースを活用したバーチャルオフィスやリモート会議のサービスが登場しています。
リモートワークで自宅にいながらでも、同僚たちと同じ空間で働いているような体験ができます。
リモートワークで不十分さを感じていた一体感やコミュニケーションを、メタバースで解消するこができます。

ライブ・イベント

メタバース内でライブやイベントを実施すれば、地理的な制約を受けずに、世界中から参加することができます。
人気アーティスト「RADWINPS」が2021年7月にメタバースで行なったバーチャルライブ「SHIN SEKAI nowhere」も話題になりました。

ショッピング

仮想空間にディスプレイされた商品を見て、選んでショッピングを楽しむことができます。 VR技術と組み合わせればより臨場感たっぷりに楽しめ、あらたな消費体験が生み出されています。

メタバースの始め方!メリットと注意点も確認

メタバースは、インターネット環境とパソコンやスマートフォンなどのデバイスがあればすぐに始められます。

参加するメタバースのプラットフォームにアクセスし、アカウントを作成します。
アバターを選んで見た目や服装を好みにカスタマイズしたら、準備は完了!
利用したいメタバースによって、必要なデバイス(パソコン、スマートフォン、ゲーム機)などは異なります。

メタバースのメリットと注意点

メタバースのメリットは、仮想空間の中でリアルタイムにコミュニケーションや体験ができることです。
場所にとらわれずに世界中の人たちとコミュニケーションがとれますし、その場に行かなくてもコンサートやイベント、ショッピングなどを臨場感たっぷりに楽しめます。

メタバースだからこその自由な発想で、現実では体験できないような空間を構築することもでき、新たな体験の機会やビジネスチャンスが広がっていくでしょう。

一方、メタバースはインターネットの空間ですので、利用の際には個人情報の流出やアバターのなりすまし、乗っ取りなどに注意を。
子供が利用する際には依存性にも注意して、保護者が適切な利用を促す必要があるでしょう。

中高生の皆さんが利用したい場合は、保護者の方に相談し、利用する時間や使い方などのルールを決めて行うようにしてくださいね。

メタバースはインターネット上の仮想空間で新たな体験を生み出す仕組み

メタバースとは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間のこと。
ユーザーは「アバター」を使い、メタバース内で現実世界と同じようなさまざまな体験をすることができます。

インターネット技術やVR技術などさまざまな関連技術の発展に伴い急速に広まり、また、コロナ禍によってオンラインでの活動が一般的になったことなどからさらに注目を集めるメタバース。
現在は、ゲームやビジネス、イベント・ライブ、ショッピングなどの分野で活用が進んでいます。

場所にとらわれずに世界中の人とコミュニケーションをとれて、さまざまな体験ができるメタバースには、新たな体験の機会やビジネスチャンスの広がりが期待されます!
一方で、インターネット上のサービスなので、個人情報流出やアバターのなりすまし・乗っ取り、依存症などの問題に注意して利用する必要があるでしょう。

北海道科学大学工学部情報工学科の和田直史准教授が本記事と同じテーマの「メタバースとは?~デジタルが創り出す世界の可能性~」講座を行なっています。

2021年10月、Facebookが社名をMetaに変更し、「メタバース」という言葉が一気に広がりました。我々は仮想世界で何ができるのか?メタバースによって10年、20年後に世の中はどう変わっていくのか?バーチャルネイティブ世代に向けてメタバースの概要についてお話します。

高等学校をはじめ中学校・小学校の関係者の方でご興味のある方はぜひ下記からお問い合わせください。
北海道科学大学出前授業ページ

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メタバースに興味がある方は、北海道科学大学 工学部 情報工学科へぜひお越しください!
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