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薬の飲み合わせが悪いとどうなる?食べ合わせとの注意点も解説

2025.12.18

この記事について

薬を服用する際、「飲み合わせ」や「食べ合わせ」に注意が必要と聞いたことがある方は多いでしょう。
薬同士、あるいは薬と食べ物の組み合わせによっては、効果が弱まったり、逆に強く出すぎて副作用を引き起こすことがあります。

今回は、薬の飲み合わせ・食べ合わせが悪いとどうなるのか、注意すべき組み合わせや、トラブルを防ぐためのポイントを詳しく解説します。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 薬学部 薬学科

講師岩山 訓典Iwayama Kuninori医療薬学 皮膚科学 消化器内科学

私は、医薬品の中に本来の目的とは異なる作用を持つ可能性があるものを探索し、他の病気の治療に応用できないかを日々研究しています。
特に、若年層で発症することが多い炎症性腸疾患(IBD)に対する新規治療薬の開発を目指して研究を行っています。

IBDは、現在のところ根治できる治療法が確立されておらず、主に薬物療法を中心とした治療が行われています。
しかし、治療の途中で薬の効き目が弱まってしまうことがあり、そのたびに治療薬の変更を余儀なくされる場合も少なくありません。
そのため、根治を目指せる新たな治療法の開発が強く求められています。

現在、IBDに対して治療効果が期待できる医薬品を見い出すことができました。
今後は、なぜこの医薬品がIBDに効果を示す可能性があるのかについて、その作用メカニズムの解明を進めていく予定です。
将来的には、この医薬品がIBDの新たな治療薬へとつながるよう、研究を進めていきたいと考えています。

薬の飲み合わせ・食べ合わせとは?「相互作用」の仕組み

薬の「飲み合わせ」や「食べ合わせ」とは、複数の薬を一緒に飲んだり、薬と特定の食品を同時に摂ったりしたときに、薬の効き方が変わってしまうことをいいます。
医療では「相互作用」という表現をします。
この相互作用は、薬が体内で吸収・分解(代謝)・排泄される過程で、他の成分がその働きを変えてしまうことで発生します。

例えば、ある薬が別の薬の分解を妨げると薬が体に溜まりすぎて副作用が出やすくなることがあります。
反対に、薬の成分同士が結合してしまい、薬がうまく吸収されず、十分な効果が出ないこともあります。

こうした相互作用は薬と薬だけでなく、食品や飲み物との組み合わせでも起こるため、安心して薬を使うためには注意が必要です。

薬が体の中でどのように働き、なぜ決められた用法・用量を守ることが大切なのかについては、「薬が効く仕組みを解説!効き方の種類や用法用量を守る重要性も」で詳しく解説しています。

薬の飲み合わせ・食べ合わせが悪いとどうなる?

薬の飲み合わせや食べ合わせが悪いと、主に次の3つの影響が考えられます。

1. 薬の効果が強く出すぎる

似た作用を持つ薬を併用したり、分解を妨げる薬を同時に服用したりすると、薬の成分が体の中に溜まりすぎることで、眠気やめまい、肝臓への負担などが起こることがあります。

重症化すると血液障害などの副作用を引き起こす恐れもあります。

2. 効果が弱まる

反対の作用を持つ薬を同時に服用すると、お互いの効果を打ち消してしまうことがあります。
また、薬の成分が食品と結合して体にうまく吸収されなくなることもあり、治療効果が十分に得られにくくなるケースもあります。

3. 思わぬ副作用が出る

特定の食べ物や飲み物との組み合わせで、通常では起こらない副作用が現れることもあります。
例えば、血圧が急に上昇する、出血が止まりにくくなる、頭痛や顔の紅潮が起こるなどです。

こうした相互作用は、処方薬だけでなく、市販薬や漢方薬、サプリメントでも起こる可能性があります。

なお、薬同士の飲み合わせでは、「併用禁忌」と「併用注意」の2種類があります。

【併用禁忌】同時に使ってはいけない組み合わせ
代表例として、かつて使用されていた皮膚疾患の治療薬ソリブジンと抗がん薬を併用すると、抗がん薬の分解が妨げられて、重い副作用を引き起こすことが知られています。

【併用注意】一緒に使うと効果が弱まる、または副作用の恐れがある組み合わせ
例えば、抗菌薬と貧血の治療薬である鉄剤を同時に服用すると、鉄分が抗菌薬と結合して抗菌薬の吸収が妨げられます。

医師の指示がない限り、自己判断で複数の薬を併用するのは避けましょう。

要注意!薬の飲み合わせ・食べ合わせ例

特に注意が必要な薬の組み合わせや食べ合わせの具体例を紹介します。
薬と薬、薬と飲み物、薬と食べ物など、さまざまなパターンがあるため代表的な例を押さえておきましょう。

もちろん、ご紹介する全ての例が「絶対にダメ!」というわけではありませんので、医師や薬剤師に事前に相談してください。

注意① 薬同士の組み合わせ例

身近な風邪薬や痛み止めにも、服用する際に注意が必要なことがあります。

風邪薬 × 解熱鎮痛薬・睡眠改善薬

これらの薬にはカフェインや抗ヒスタミンなど共通成分が含まれている場合があります。
そのため、重ねて服用すると眠気やめまい、肝臓・胃腸への負担が強くなることがあります。

注意② 薬 × 飲み物の組み合わせ例

飲み物によって薬の吸収や代謝が変わることがあります。

血圧を下げる薬など × グレープフルーツジュース

グレープフルーツの成分が薬の分解を妨げ、効果が強く出ることがあります。
少量でも影響する場合があり、作用は数日続くことも。

精神安定薬・睡眠薬など × お酒(アルコール)

併用すると眠気・ふらつき・呼吸抑制・意識低下などを引き起こす恐れがあり、転倒や事故のリスクが高まります。
これらの薬を飲んでいるときは、お酒は控えましょう。

カフェインを含む薬 × カフェイン飲料

コーヒーや緑茶などと一緒に飲むと、カフェイン摂取量が増え、不眠や動悸、神経過敏などを起こすことがあります。

注意③ 薬 × 食べ物の組み合わせ

食事との関係でも吸収や効果に差が出ることがあります。
空腹時や満腹時で吸収率が変わる薬も多いため、食前・食後の指示を守ることが大切です。

ワルファリン(血液をサラサラにする薬) × 納豆・青汁・クロレラ

納豆などに含まれるビタミンKがワルファリンの効果を弱めるため、血液が固まりやすくなり、ワルファリンの効き目を弱めてしまいます。
青汁・クロレラなどビタミンKを多く含む健康食品も注意が必要です。

抗生物質 × 牛乳などの乳製品

牛乳などの乳製品に含まれるカルシウムが薬の成分と結合し、体への吸収を妨げます。
服用前後2時間は乳製品を避けるのが望ましいです。

同じく、ミネラルを含むサプリメントとの服用にも注意が必要です。
薬とサプリメントの同時摂取の注意点については「サプリメントと薬の違いとは?同時摂取・服用は注意を」でも詳しくご紹介しています。

④ 漢方薬との組み合わせ

「天然成分だから安全」と思われがちですが、漢方薬にも注意が必要です。

咳止め薬(エフェドリン含有)× 葛根湯・麻黄湯

麻黄に含まれる成分が重なり、心臓に負担がかかることがあります。

薬の飲み合わせ・食べ合わせトラブルを防ぐためにできること

薬の説明をする薬剤師

薬によるトラブルを防ぐには、まず服用中の薬をしっかり把握しておくことが大切です。
特に、高血圧や糖尿病などで常用している薬がある場合は、医師に「一緒に飲んではいけない薬」を確認しておきましょう。

複数の病院を受診する場合は使用中の薬を必ず伝えるようにしましょう。
診療科が異なっても似た成分の薬が処方されることがあるため、注意が必要です。
薬名がわからない場合は、現物を持参して医師に見せるのも効果的です。

また、「お薬手帳」を活用して、処方薬だけでなく市販薬やサプリメントの情報も記録し、薬をもらう時に薬局で薬剤師に確認してもらうと安心です。
かかりつけ薬局を決めておくと、薬剤師が服用履歴を把握しやすく、相互作用を未然に防ぐことができます。

不安や疑問があるときは、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。

薬は飲み合わせや食べ合わせに気をつけて服用しよう

薬の飲み合わせ・食べ合わせが悪いと、薬の効果が強まりすぎて副作用が出たり、逆に効果が弱まって治療が十分に行えなかったりすることがあります。

相互作用は薬同士だけでなく、食べ物や飲み物との間でも起こります。
グレープフルーツジュースや納豆、牛乳、アルコールなど、日常的な食品にも注意が必要です。
また、漢方薬との組み合わせにも油断せず、医師や薬剤師に相談する習慣を持ちましょう。

お薬手帳の活用や情報共有を徹底し、不安なときは専門家に確認することが、安心・安全な服薬につながります。

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