雪解け後に道路がボコボコになる原因や補修方法を解説



この記事について
「この道路、去年もこの場所に穴があったような気がする」―― 北海道で暮らしていると、春先にそう感じた経験のある方も多いのではないでしょうか。
雪解けの季節に現れる ポットホール(道路の穴)は、単なる「道路の傷み」ではありません。
その背景には、気温・水分・交通荷重・アスファルトの性質が複雑に関わり合う、明確な工学的メカニズムが存在します。
今回のコラムでは、毎年同じように道路がボコボコになる理由、自治体による補修の実態、そして安全に通行するためのポイントを、舗装工学の視点からわかりやすく解説します。
このコラムは、私が監修しました!

准教授中村 博康Nakamura Hiroyasu
北海道科学大学 工学部 都市環境学科の中村博康です。本学科では、道路や橋といった私たちの生活を支えるインフラについて、研究と教育に取り組んでいます。
私は、誰もが毎日使う「舗装」の研究をしています。私たちが毎日歩いたり、車や自転車で走ったりしている道路。その黒く平らな表面――アスファルト舗装は、あまりにも身近すぎて、その存在を意識することは少ないかもしれません。
しかし舗装は、車の重みを支え、雨水を排水し、騒音や振動をやわらげ、安全な走行を可能にする、いわば道路の「縁の下の力持ち」であり、水道や電気と同じ社会基盤(インフラ)の一つです。買い物も、通勤・通学も、救急車の到着さえも、しっかりとした舗装があってこそ成り立っています。
舗装の研究は、そのインフラを次世代へ引き継ぎ、より安全で持続可能な社会を実現するために欠かせないものなのです。
目次
雪解け後の道路がボコボコになる原因
雪解け後に道路がボコボコになるのは、気温の変化と水の働きが大きく関係しています。
一見すると頑丈なアスファルトも、北海道の厳しい寒さの中では少しずつ劣化していくのです。
その仕組みを順を追って見ていきましょう。
①アスファルトに細かいひびが入る
道路に使われるアスファルトは、車の重みや紫外線を長年受け続けることで、目に見えないほど小さなひび割れが生じていきます。
特に車輪の通る位置(わだち部)には、ワニ革のような網目状のひび割れ(亀甲状ひび割れ)が現れやすく、これがポットホールの前兆になります。
②雪解け水がひびに入り込む
春先に雪解けが始まると、解けた雪の水分がそのひびにじわじわとしみ込んでいきます。
③夜間に凍結してひびが広がる
北海道の春先は、日中はプラス気温でも夜間や早朝は氷点下になる日が続きます。
そのため、しみ込んだ水分が凍結して体積が大きくなり、アスファルトのひび割れを内側から押し広げます。
④凍結と融解を繰り返してアスファルトがもろくなる
翌日の昼間に気温が上がると氷は溶けて水に戻り、広がったひびの奥へさらにしみ込んでいきます。
このような水分の「凍結(凍る)」と「融解(溶ける)」の繰り返しによって、アスファルトは徐々にもろくなっていきます。
また、北海道のような積雪寒冷地では、路面の下にある 路盤(ろばん)や路床(ろしょう) の土の中の水分まで凍ってしまい、地面全体が押し上げられる 『凍上(とうじょう)』 という現象が起こります。
春になってこの氷が解けると、土がやわらかくなり、車の重みを支えきれずに路面が陥没してしまうこともあります。
これも北海道で大きなポットホールが多発する大きな理由です。
⑤車の重みで表面がはがれ、穴(ポットホール)ができる
弱くなったアスファルトに車の重みや衝撃が加わることで、ついにはアスファルト表面がはがれ、穴が生まれます。
この穴は「ポットホール」と呼ばれています。
ポットホールの大きさは、小さいもので直径5cm前後、大きいものでは50cm以上になることもあり、深さも数cm〜10cm程度とさまざまです。
積雪寒冷地である北海道では凍結と融解が何度も繰り返されるため、ポットホールが発生しやすい地域の一つです。
特に交通量の多い幹線道路では、車両の荷重や振動の影響で劣化が進みやすく、大きな穴ができやすい傾向があります。
雪解け後のボコボコ道路補修はどのように行われる?
春になると各地で道路の補修作業が本格化します。
ポットホールの補修の流れと、なぜ毎年繰り返されるのかを見ていきましょう。
ポットホール補修の基本的な流れ
ポットホールの補修は、主に次のような手順で行われます。
- パトロールや通報で穴を発見する
- 穴の状態を確認し、周囲を清掃する
- 補修用の舗装材を詰める
- 転圧(地面を機械で押し固めること)して路面を平らに仕上げる
このように、比較的短時間で応急的に補修されるケースが一般的です。
自治体によるパトロールと応急補修
道路補修の多くは自治体が担っています。
担当者がパトロールカーで巡回し、ポットホールを発見すると、必要に応じて応急補修などを行います。
また、市民からの通報も重要な情報源です。
大きなポットホールを見つけた場合は、安全を確保した上で、地域の土木センターや国道・道道であれば「道路緊急ダイヤル(#9910)」に連絡しましょう。
札幌市のポットホールに関する要望件数は、2026年の2月末時点で前年比1.5倍に増加しました。
これを受けて札幌市では補修体制を強化するため、予算の拡充などの対応が行われています。
補修しても毎年繰り返される理由
ポットホールの補修は、多くの場合応急的な対応にとどまります。
そして補修箇所にはどうしても継ぎ目ができてしまうため、そこから再び水が入り込み、翌年も同じ場所に穴が発生してしまうこともあります。
さらに、北海道は気候的に凍結と融解のサイクルを完全に防ぐことはできないため、ポットホールの発生を根本的に防ぐのが難しいのです。
加えて、近年は道路の老朽化によってアスファルト自体の耐久性が落ちていることも、ポットホールが繰り返し発生する原因の一つです。
根本的な対策としては、傷んだ表層を削り取って新しいアスファルトを敷設し直す 『切削オーバーレイ工法』 や、より大規模な 『打換え工法』 があります。
しかし、大規模修繕となるため全ての道路に一度に実施することは難しく、計画的に進められています。
雪解け時期のボコボコ道路に潜む危険
雪が解けて路面が見えてくると、自転車にも乗れるようになり、車も走りやすくなるように感じるかもしれません。
しかし、ポットホールが多い道路には、凍結路面とは異なる危険が潜んでいます。
ハンドルを取られて事故につながる
走行中にタイヤがポットホールにはまると車体が大きく揺れ、ハンドルを取られることがあります。
予期せずハンドルが動くと、事故につながるおそれがあります。
バイク・原付に乗る方は、二輪は四輪よりもポットホールの影響を受けやすく、転倒事故に直結します。
特に春先のツーリングは路面に細心の注意を払いましょう。
タイヤ・ホイールがダメージを受ける
北海道では春先になると、パンクなどのタイヤトラブルが多く報告されます。
ポットホールの縁は鋭いことが多く、タイヤの側面を傷つけてパンクの原因になることも。
また、ホイールが変形する場合もあります。
強い振動によって車体に負担がかかる
特に車の場合、細かな凹凸で振動が蓄積され、車体に負担をかけ続けます。
大きな穴に落ちた場合は強い衝撃となり、車両トラブルの原因になることもあります。
雪解け時期にボコボコ道路を安全運転するためのポイント

北海道での運転は、雪道だけではなく、雪解け後のボコボコ道路にも注意が必要です!
車だけではなく、自転車に乗るときも共通する部分が多いので、まだ免許を持っていない中学生・高校生のみなさんも参考にしてみてください。
スピードを出しすぎない
ポットホールは直前まで気付きにくいため、スピードが出ていると回避が間に合いません。
速度を抑えることで、発見から対応までの余裕が生まれます。
自転車でも同様で、前輪がポットホールにはまると転倒につながるおそれがあります。
特に下り坂ではスピードの出しすぎに注意が必要です。
路面の状態をしっかり確認する
走行中は前方の信号や車、歩行者だけでなく、路面の状態にも意識を向けましょう。
早めに異変に気づくことで、ポットホールを安全に回避できます。
雪解け期の水たまりは、その下にポットホールが隠れていることがあります。
深さが分からない水たまりは踏まないようにしましょう。
特に夜間や雨の日は穴が見えにくくなるため、より慎重な走行を心がけてください。
車間距離をしっかり取る
前の車が急に進路を変えたり減速したりするのは、ポットホールを避けている可能性があります。
十分な車間距離があれば、そうした動きにも余裕を持って対応できます。
雪解けのボコボコ道路の原因を知って安全に備えよう
雪解け後に道路がボコボコになるのは、アスファルトのひび割れに水が入り込み、凍結と融解を繰り返すことで「ポットホール」が発生するためです。
補修は行われていますが、北海道特有の気候条件や道路の老朽化により、毎年繰り返されています。
ポットホールは事故やタイヤトラブルの原因になるため、スピードを抑え、路面の状況を確認しながら走行しましょう。
車でも自転車でも、雪解けの時期は路面状況が不安定になりやすいため、十分に注意して安全運転を心がけてくださいね。
北海道科学大学工学部都市環境学科で、道路インフラの未来を学びませんか?
毎年繰り返されるポットホール問題は、北海道に暮らす私たちにとって身近な道路インフラの課題です。
北海道科学大学工学部都市環境学科では、こうした課題に工学の力で向き合い、解決へと導く知識や技術を学びます。
本学科の学びの対象は、都市部はもちろん、山の頂上から海まで。
港湾・道路・トンネル・線路など幅広い分野をカバーし、多くの人と予算が関わるインフラ整備の現場を支える人材の育成を目指しています。
都市部への人口集中が進む現代社会において重要となる、多様性の理解や柔軟な対応、老朽化や自然災害のリスクを軽減する都市づくりを学び、人と自然がともに息づくまちづくりに貢献しましょう。









