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電気自動車のメリットとデメリットを知ろう!環境にやさしい未来の車

テクノロジー2025.07.25

この記事について

地球温暖化対策や脱炭素社会への移行が進む中、走行時にCO2を排出しない電気自動車(EV)は、環境にやさしい次世代の乗り物として注目を集めています。

しかし「ガソリン車やハイブリッドカーとはどのような違いがあるのだろう?」「デメリットはないの?」といった疑問を持っている方もいるかもしれませんね。

今回は、電気自動車のメリット・デメリット、そして将来性まで、科学的な視点からわかりやすく解説します。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 工学部 電気電子工学科

准教授折川 幸司Orikawa Koji

私の専門分野は「半導体デバイスを用いて電気エネルギーを効率良く変換する省エネルギー技術」で、“パワーエレクトロニクス(略して、パワエレ)”と呼ばれています。パワエレの最近の代表的な応用例がエコカーです。

私が電気に興味を持った中学校や工業高等専門学校の生徒の頃に今の学生さんと同じように、理科や物理実験で低電圧・小容量の乾電池を使っていました。その当時からバッテリーの高性能化が進み、現在のエコカーには高電圧・大容量のバッテリーが搭載されています。そして、できるだけ長距離・長時間の走行を実現するために、インバータと呼ばれる電力変換装置でモーターを駆動するための半導体デバイスやモーターの材料の高性能化や高効率制御などのパワエレの研究開発が急速に進められています。

エコカーを見かけたり乗車したりした時には、“パワエレによって走行している”と少しでも思ってもらえると、研究のモチベーションになります。

電気自動車(EV)とは

電気自動車(EV:Electric Vehicle)は、その名の通り電気を動力源として走る自動車です。
バッテリーに電気エネルギーを蓄え、その電力でモーターを駆動して走行します。

ガソリンを燃やしてエネルギーにしないので、走行時にCO2(二酸化炭素)を排出しないという大きな特長があります。

電気自動車の仕組みについては、こちらでわかりやすく解説していますので、あわせて読んでみてくださいね。
電気自動車の仕組みを子ども向けにやさしく解説!

世界的に電気自動車に注目が集まっている背景には、近年の地球環境保護に向けた取り組みがあります。
地球温暖化への対策を含む地球環境の維持や持続可能な社会の実現に向けて、世界的に脱炭素の動きが活発になっています。

日本も2050年のカーボンニュートラル実現を目指しており、その取り組みの一つとして電気自動車の普及を促進しています。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引き、実質的に排出量をゼロにする取り組みです。

日本では2035年までに乗用車新車販売の100%をEVを含めた電動車にする方針で、2030年には電動車が全自動車の20〜30%に達すると予測されています。

これにより、各自動車メーカーも積極的に電気自動車の開発を進めています。
企業も社用車を電気自動車に切り替える動きが活発化していることから、環境への配慮だけでなく経済性の面からも、EVへの関心は高まっているといえるでしょう。

電気自動車とほかのクリーンエネルギーカーとの違い

電気自動車と似たクリーンエネルギーカーには、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、燃料電池車などがあります。
それぞれの仕組みの違いも簡単に紹介します。

電気自動車(EV)

バッテリーに蓄えた電力でモーターを回して走行します。
走行時にCO2を発生しません。

ハイブリッドカー

燃料を燃やすエンジンと電気モーターを併用して走行します。
走行時にCO2が発生します。

プラグインハイブリッド(PHEV)

ハイブリッド車の特性を持ちながら、電気のみでの走行も可能です。

燃料電池車(FCV)

水素と酸素の化学反応で発電した電気でモーターを駆動し走行します。
走行時の排出物は水蒸気のみです。

電気自動車(EV)のメリット

電気自動車のさまざまなメリットについて、具体的に確認していきましょう。

クリーンな走行で地球環境保護に貢献

電気自動車の最大の特長は、走行中にCO2や排気ガスを排出しないことです。
ガソリン車の排気ガスには、CO2だけでなく、大気汚染の原因となるさまざまな物質も含まれています。

発電時のCO2の排出問題は残るものの、電気自動車の普及は環境問題の改善に大きく貢献することが期待されています。

優れたエネルギー変換効率で経済的

ガソリン車は発生するエネルギーの約4割しか走行に使用できないといわれていますが、電気自動車は9割以上を動力に変換可能で、エネルギー効率に優れています。
この高いエネルギー効率によって、ガソリン車に必要なガソリンの費用よりも、電気自動車に使うバッテリーの充電に必要な電気代の方が安く抑えられる点も魅力といえるでしょう。

災害時の強い味方となる電源機能

電気自動車は災害時には非常用電源として使うことができます。
停電の際も、バッテリーに蓄えた電力で家電製品を動かすことができるため、非常時のライフラインとしての役割も期待されています。

近年、自然災害が増加する日本において、この機能は大きな安心につながります。

静かで快適なスムーズドライブ

電動モーターは、アクセルを踏むとすぐに加速します。

また、エンジン音や振動が少なく、車内は静かで快適な空間となります。
振動が少ないため長時間の運転でも疲れにくく、早朝や夜間の走行時も騒音があまり気になりません。

支援制度で購入・維持の負担が軽減

電気自動車は環境性能が高いため、購入時の補助金や税制面での優遇措置が受けられます。
経済産業省のCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)などを利用すると、車を購入する際にかかる費用の負担を軽減できるでしょう。

また、自動車を持っていると納める必要がある自動車税や重量税も軽減されます。
長い目で維持費を考えると、経済的なメリットも大きいといえます。

電気自動車(EV)のデメリット

駐車場の充電ステーション

電気自動車には多くのメリットがありますが、次のようなデメリットについても知っておきましょう。

初期購入費用の高さ

電気自動車は高価なバッテリーを搭載するため、車両価格が高くなる傾向があります。
ガソリン車と比較して1.5倍以上の価格差が出るケースもあります。

デメリットへの対応策

購入時にはEV車に対する補助金を活用することで、負担が抑えられます。
国のほかに自治体が独自に補助金を実施しているケースもあります。

また、税金優遇による長期的な維持費の安さを考えると、トータルコストでの差は小さくなるといえます。

充電インフラの整備

電気自動車の利用には、充電設備の整備が必要です。
ガソリン車の給油施設と比べると、まだまだ充電施設は多くありません。

また、普通充電では満充電まで約7~14時間、急速充電でも約30分~1時間程度必要です。
ガソリン車の給油が数分で済むことと比べると、この点は不便に感じる方もいるかもしれません。

デメリットへの対応策

外出先での充電については、充電スタンドの場所を把握しておくことが重要です。
充電スタンドを検索できるスマホアプリも増えているため、外出先での充電計画も立てやすくなっています。

また、自宅に充電設備を設置すれば、日常利用での心配はほとんどなくなります。
夜間の自宅充電を基本とし、長距離移動時は食事や休憩のタイミングで充電すると効率的です。

急速充電技術も進化しており、将来的には充電時間の短縮が期待できます。

一充電あたりの走行距離

電気自動車の航続距離(車両が電気を使い切るまでに走行できる距離のこと)は一般的に200~600km程度で、ガソリン車の500〜1,500kmと比べると短いケースが多いです。
長距離運転の際には、途中で充電する計画が必要になるでしょう。

デメリットへの対応策

事前に走行ルート上の充電スポットを確認し、休憩場所と合わせて計画を立てましょう。
また、日常的な移動距離を考慮して適切なバッテリー容量の車種を選ぶことも重要です。

日常の短距離移動が中心であれば大きな問題にはならないケースがほとんどです。

電気自動車のメリットとデメリットから見る未来の選択肢

電気自動車(EV)は、電力でモーターを動かして走行する自動車で、地球温暖化対策や脱炭素社会への移行を背景に、世界的に注目されています。
環境負荷の低減や優れたエネルギー効率、災害時の電源活用などの大きなメリットがある一方、高い初期費用や充電設備の課題、航続距離の制限といったデメリットもあります。

しかし補助金活用や充電計画の工夫で、これらの課題は少しずつ解消されつつあります。
利用シーンや目的に合わせて電気自動車を選ぶことで、電気自動車のメリットを最大限に生かすことができるはずです!
今後の技術進化と普及拡大で、電気自動車はこれからより現実的な選択肢になっていくでしょう。

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