電気自動車の仕組みを子ども向けにやさしく解説!



この記事について
未来の乗り物として注目されている電気自動車。
環境にやさしいといわれていますが、実際にどんな仕組みで動いているのか、知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか?
今回のコラムでは、電気自動車の基本的な仕組みをわかりやすく紹介します!
ガソリン車との違いから説明し、環境にやさしいといわれている理由を学んでいきましょう。
このコラムは、私が監修しました!
准教授折川 幸司Orikawa Koji
私の専門分野は「半導体デバイスを用いて電気エネルギーを効率良く変換する省エネルギー技術」で、“パワーエレクトロニクス(略して、パワエレ)”と呼ばれています。パワエレの最近の代表的な応用例がエコカーです。
私が電気に興味を持った中学校や工業高等専門学校の生徒の頃に今の学生さんと同じように、理科や物理実験で低電圧・小容量の乾電池を使っていました。その当時からバッテリーの高性能化が進み、現在のエコカーには高電圧・大容量のバッテリーが搭載されています。そして、できるだけ長距離・長時間の走行を実現するために、インバータと呼ばれる電力変換装置でモーターを駆動するための半導体デバイスやモーターの材料の高性能化や高効率制御などのパワエレの研究開発が急速に進められています。
エコカーを見かけたり乗車したりした時には、“パワエレによって走行している”と少しでも思ってもらえると、研究のモチベーションになります。
目次
子どもでもわかる!電気自動車の仕組み
現在、私たちの身の回りにある自動車の多くは、ガソリンを燃料として走っています。
しかし最近では、ガソリンを使わないクリーンな自動車がいろいろと登場しています!
中でも電気自動車は、その名の通り電気の力だけで走る自動車です。
ガソリン車と電気自動車の違い
ガソリン車には、燃料を入れる給油口と燃料タンク、そしてガソリンを燃やしてエネルギーを生み出すエンジンが装備されています。
ガソリン車はエンジンの中でガソリンを爆発させて、その力で車輪を回して走ります。
一方、電気自動車には給油口やエンジンはありません。
代わりに、電気を充電するための充電口と、電気を蓄えておくバッテリー、そして電気の力で回転するモーターが装備されています。
電気自動車はバッテリーに蓄えた電気でモーターを回転させ、その力で車輪を動かして走るのです。
電気自動車の特徴
電気自動車は、とても静かに走ります。
モーターだけで動くため、走行中の音がとても小さいのです。
むしろ静かすぎて危険なため、歩行者に気づいてもらえるよう、あえて音を出す装置が付いているほどなんです!
また、車を発進させるときの加速がスムーズなのも特徴です。
ガソリンで走る車は、アクセルを踏むと「ブォーン」といった音を出して、じわじわとスピードが出てきます。
一方、電気自動車は、スタートの瞬間からモーターを力強く回すことができ、「スーッ」と静かに、そしてとてもなめらかに速くなります。
電気自動車のモーターと電池の働き方
電気自動車が動くためには、主に「モーター」「バッテリー」「インバータ」という3つの部品が重要な役割を果たしています。
それぞれがどのような働きをしているのか、身近な例を使って説明します。
モーターの役割
モーターは、電気のエネルギーを回転運動に変える装置です。
身近な例でわかりやすいのが、扇風機や電動歯ブラシです!
家庭にある扇風機や電動歯ブラシにも小さなモーターが使われていますが、電気自動車のモーターはもっと大きく、強力なものが使われています。
モーターが車輪を回転させることで、自動車を前に進める力を生み出します。
モーターはガソリン車のエンジンにあたる部分ですが、エンジンよりも構造がシンプルで、効率良くエネルギーを使えます。
バッテリーの役割
バッテリーは電気を蓄えておく「電池」のことです。
スマートフォンやタブレットのように、使用後に充電して繰り返し使うことができます。
充電したバッテリーの電気で、モーターを回して走ります。
電気自動車のバッテリーは容量が大きいので、あの大きな車を長い距離でも走らせることができるんです。
電気自動車のバッテリーは、なんと家庭のコンセントからも充電できます!
専用の充電スタンドなら、より速く充電することができますよ。
インバータの役割
インバータは、バッテリーからの電気をモーターに送る際に、電気の流れ方を調整する装置です。
身近な例では、エアコンのリモコンで温度を調節するように、インバータはモーターの回転速度を細かく制御します。
アクセル(車を進ませたり、速くしたりするためのペダルのこと)を踏む強さによってモーターへ送る電気の量を変えることで、自動車の速度をコントロールします。
例えば、アクセルをゆっくり踏めば電気をゆっくり送ってモーターをゆっくり回し、強く踏めば多くの電気を送ってモーターを速く回します。
インバータのおかげで、ドライバーの意思に合わせた速度調整ができるのです。
電気自動車が環境にやさしいといわれる理由

電気自動車が注目されている大きな理由は、環境への負荷が小さいことです。
電気自動車が「エコ」「地球にやさしい」といわれているのには、以下のような理由があります。
走行中に排気ガスを出さない
ガソリン車は走行中にガソリンを燃やすため、二酸化炭素などの排気ガスを出します。
二酸化炭素は地球温暖化の原因となる気体です。
一方、電気自動車は走行中に燃料を燃やさないため、排気ガスを全く出しません。
そのため、街中の大気汚染を増やさずに走ることができます。
再生可能エネルギーとの相性が良い
電気自動車の充電に使う電気は、発電所でつくられたものです。
火力発電所では化石燃料を燃やして電気をつくるため、そこで二酸化炭素が発生してしまいます。
しかし、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで発電した電気を使えば、発電時の二酸化炭素排出もゼロにすることができます。
※再生可能エネルギー:太陽光や風力、水力など、いくら使ってもなくならない「自然の力」のこと。
電気自動車は再生可能エネルギーと組み合わせることで、究極のエコカーになる可能性を秘めているのです。
エネルギー効率が良く節約できる
車種や状況にもよりますが、電気自動車の充電にかかるお金は、ガソリン車の燃料代より安いといわれています。
これは家計にやさしいだけでなく、地球の限られた資源を大切に使うことにもつながります。
同じ距離・時間だけ走るのに、ガソリンを燃やすよりも電気でモーターを動かすほうが、エネルギーを無駄なく使えるのです。
このように電気自動車には環境にやさしいたくさんのメリットがありますが、反面、解決すべき課題やデメリットもあります。
電気自動車のメリットとデメリットについてもっと詳しく知りたい方は、「電気自動車のメリットとデメリットを知ろう!環境にやさしい未来の車」のコラムもぜひご覧ください!
電気自動車は環境にやさしい仕組みの車!
電気自動車は電気の力だけで走る、環境にやさしい乗り物です。
ガソリン車のエンジンの代わりにモーターを使い、燃料タンクの代わりにバッテリーで電気を蓄えます。
インバータという装置がモーターに送る電気の量を調節して、スピードをコントロールします。
走行中に排気ガスを出さないため環境への影響が小さく、再生可能エネルギーとの相性も良いのが特徴です。
エネルギー効率も良いため、限りある資源を大切にしつつ、燃料費の節約にもつながります。
電気自動車の仕組みを知ることは、未来のクリーンな社会を考える第一歩になるでしょう。
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