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メディアデザイン学科の特別講演会を実施しました

平成30年6月21日(木)、北海道科学大学講義棟(E棟)において、「ユーザー理解のために:色覚特性とカラーユニバーサルデザイン」と題した特別講演会を実施しました。

 

講演会には、特別講師として、有限会社ソノーク代表取締役、NPO法人北海道カラーユニバーサルデザイン機構(以下CUDO)副理事長の栗田正樹氏をお招きしました。

 

栗田氏は、色弱(P型色覚)のデザイナーとして、これまでCGによるアニメ・ゲームの美術設定やテレビCMの制作を多数手掛けてきました。

また、アーティストとしてもボールペン画や色彩豊かなCG作品を発表しています。

CUDOでは、札幌市の色のガイドライン策定はじめ、色に関する様々な検証事業に関わるなど、カラーユニバーサルデザイン(以下CUD)の普及啓発・コンサルティング・認証事業に取り組んでいます。

 

講義の前半では、栗田氏が幼少期に受けた色覚検査や、大学受験時には専攻によって、就職活動時には職種によって、応募要件に該当しないこともあったという本人や友人の話など、これまでにあった困った体験談をイラストとともに紹介いただきました。

栗田氏はこのような経験を経て、『それでも色弱は「かわいそう」ではなくて、生まれたときから慣れ親しんでいる自分自身の色の世界にいるので、実はそれほど困ってはいない』と学生たちに伝えました。

 

 

日本における色弱の保因者(本人は色弱ではないが、色弱の遺伝子を持っている女性のこと)は10人に1人の割合であり、世界的にみれば北欧・フランスでは男性のうち約8〜10%(日本は約5%)が色弱であるなど、色弱は決して珍しい存在ではありません。

栗田氏は『生物の進化の過程や種の繁栄を視点に色覚センサーの多様性を考えると、大変興味深いです』と、クイズ形式でわかりやすくお話されました。

 

講義の後半では、CUD手法についてお話いただきました。

色だけに頼らない情報の表現手法(色名の併記、ハッチングなどの模様付け、輪郭線の強調など)をはじめ、デザインの更新事例として、例えば、テレビ局各社の津波警報画面の表示の統一や、小学校のノートや教科書にもCUDが採用されていることが紹介されました。

 

最後には、学生たちは色覚体験メガネ「バリアントール」や「パンケーキ」を装着したり、スマートフォンに無料ダウンロードできるシミュレーションツールを操作してみるなどして、数タイプの色覚を体験しました。

学生たちは今後、自らがデザインする立場として、こうしたシミュレーションツールの限界を理解しながら、(色覚に限らない)人間の多様な特性に応じた、そして様々な人の立場に寄り添った情報発信のあり方について実践していくことになります。

 

 

興味を持ったら・・・
 メディアデザイン学科  道尾淳子先生  NPO法人北海道カラーユニバーサルデザイン機構HP