本学薬学部生4名が、日本薬学会第145年会において学生優秀発表賞(口頭発表およびポスター発表)を受賞しました。
2025年3月27日(木)~3月29日(土)にかけて開催されました日本薬学会第145年会において、本学薬学部生4名が学生優秀発表賞(口頭発表およびポスター発表)を受賞しました。

学生優秀発表賞受賞者(口頭発表)
- 発表者
- 〇中田温子、硎 澄仁、織谷健司、松田 正、柏倉淳一
- 発表タイトル
- FcεRIを介したマスト細胞活性化反応に対するSTAP-1の機能的役割の解明
- 概要
- マスト細胞は全身に分布し、即時型アレルギー反応に関わる責任細胞である。その活性化機構の中心であるFcεRIシグナル伝達経路には、様々な足場タンパク質が関与している。本研究では、その一つであるSignal-transducing adaptor protein (STAP)-1の機能的役割について検討した。その結果、STAP-1は LynとSHP-1との足場タンパク質として機能することで、適切な活性化シグナル伝達制御に関与することを明らかとした。今後は、さらなるSTAP-1の作用機序を解明し、新規アレルギー治療薬の開発に努めたい。
学生優秀発表賞受賞者(ポスター発表)
- 発表者
- 〇加納あすか、草岡優里、岩田稜央、藤原永年、前田伸司
- 発表タイトル
- Mycobacterium intracellulareが発現する新規血清型特異糖ペプチド脂質(GPL)生合成反応
- 概要
- 非結核性抗酸菌の血清型特異糖ペプチド脂質(GPL)は病原性に関与すると報告されている。臨床分離株のMycobacterium intracellulare ku11株は新しい構造のGPLを持つため、その生合成機構の解明を目指して研究を行った。ゲノム解析により、GPLの生合成に関与する遺伝子群を特定した。糖転移酵素のORF6は単独では酵素活性を示さず、前後の遺伝子と共発現することで活性が確認された。この結果は、GPLの合成機構を理解する上で重要な知見である。
- 発表者
- 〇水上紗良、岩山訓典、眞鍋貴行、長屋奏絵、秋山 雄、大櫛 凛、大杉愛奈、相馬まゆ子、佐藤恵亮、町田麻依子、今田愛也
- 発表タイトル
- RAW264.7細胞を用いた炎症モデルにおけるテトラサイクリン系抗菌薬の影響
- 概要
- 本研究は、テトラサイクリン系抗菌薬(TCs)の抗炎症薬としての可能性を見出すことを目的として5種類のTCsの抗炎症作用について検討しました。その結果、ミノサイクリンおよびチゲサイクリンが最も抗炎症作用が強く、ドキシサイクリンは炎症を増強したことからTCsの種類により炎症作用への影響に違いがあることを明らかにしました。またTCsの抗炎症作用に重要な構造的特徴についても示唆されました。今後は、TCsの構造活性相関から抗炎症作用を示すために必要な官能基や構造を明らかにしていきたいと考えています。
- 発表者
- 〇青柳克拓、原田颯太、川原愛可、加納誠一朗
- 発表タイトル
- アナフィラキシー誘発ラットの心電図ST上昇に対するSuraminとAdrenaline投与の影響
- 概要
- アナフィラキシー(ANA)時に心筋虚血が引き起こされるKounis症候群は治療法が確立していない。ANA誘発ratで心電図波形のST上昇とH-FABP逸脱を認め心筋虚血障害を証明しヒトKounis症候群の近似モデルを発見した。ANAの第一選択薬adrenaline(Ad)処置はH-FABP逸脱増となり心筋虚血を悪化したが、プリンP2受容体非選択的遮断薬suramin処置によりST上昇抑制・Ad処置後のH-FABP逸脱の軽減を認めた。本研究成果の展望はヒトKounis症候群の新規治療薬開拓の礎になると考える。
受賞された4名の学生の方々、本当におめでとうございます。これからもこれに満足することなく、さらなる高みを目指して頑張ってください。


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