2026年2月6日(金)、本学にて客員教授の本田 充紀氏(日本原子力研究開発機構 本田未来粘土材料研究開発ラボ ラボリーダー)による講演会を開講しました。
福島環境回復から新たな価値の創造へ ― セシウム吸脱着メカニズムと粘土鉱物の再資源化 ―
2011年の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故では、放射性セシウムが環境中に放出され、土壌中の粘土鉱物に吸着することで環境影響が生じました。福島の土壌に多く含まれる風化黒雲母は、こうした粘土鉱物の中でも特にセシウムを強く取り込む性質を持つことが知られています。
本講演では、「なぜ粘土鉱物はセシウムを吸着するのか」「なぜ風化黒雲母が重要なのか」といった基礎的な疑問から出発し、セシウムが粘土鉱物のどこに、どのように取り込まれるのかについて、図やイメージを用いながら分かりやすく解説が行われました。
続いて、溶融塩法と呼ばれる材料処理技術を用いることで、粘土鉱物に吸着したセシウムを取り除く仕組みと、その背後にあるメカニズムについて紹介されました。
後半では、セシウムを除去した粘土鉱物を単なる「廃棄物」として終わらせるのではなく、エネルギー変換などに利用可能な機能性材料として再び活用する再資源化の取り組みについて解説が行われました。
環境回復を目的とした研究が、新たな材料や技術の創出へとつながる可能性を持つことが示され、福島の経験を未来の価値へと変えていく材料科学の役割が示されました。
質疑応答では、研究の背景や今後の展開に関する質問が相次ぎ、参加者の関心の高さがうかがえました。
また、震災からまもなく15年を迎える今、当時の出来事や得られた科学的知見を正確に語り継ぎ、次世代へと伝えていくことの重要性を改めて認識する機会ともなりました。
本田 充紀氏
電気電子工学科 村口 正和 先生今回の講演は学生と一般聴講者あわせて、18名の方にご参加いただきました。
本学では今後も、社会課題と学術研究を結びつける取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。