電気電子工学科 木村 尚仁教授がちえボラ企画講座「AI時代、私たちはどう生きる?」の第3講、第4講を実施しました
ちえボラ企画講座「AI時代、私たちはどう生きる?」の第3講を6月18日(火)、最終回の第4講を6月25日(火)に実施しました
ちえボラ(ちえりあ学習ボランティア)の社会・環境班の方々よりご依頼を頂き、電気電子工学科の木村教授がちえりあ学習ボランティア企画講座「AI時代、私たちはどう生きる? ~ヒトと共生するAI社会をめざして~」の講師を担当しました。
この講座は全4回のシリーズで、前半2回は公立はこだて未来大学の美馬 のゆり先生が、そして後半2回を木村教授が担当しました。
ちえボラスタッフとしてこの講座を担当して頂いている北大名誉教授の帰山先生と、ご依頼頂いてからこれまで打ち合わせと準備を積み重ねてきました。
2024年06月18日(火) 第3講テーマ 「あなたの隣のAIテクノロジー ~今、AIは私たちの社会とどのように関わっているのか~」
グループワークをまじえながら、2時間講演を行いました。
以下、木村教授による実施内容の解説です。
(1)AIの活用事例
受講者の皆さんに講座開始前後の時間を使って、身近で経験したAI利用の例を書いてきました。その上で、アイスブレイク代わりに、近くに座っている人同士で話を共有していただきました。
続いて、挨拶、自己紹介をした上で、最近の様々なAIの活用事例をご紹介。
(2)AIの基礎をおさらい
改めてAI、機械学習、深層学習(ディープラーニング)、大規模言語モデルについて解説。
前半の締めくくりに「ドラえもんチャレンジ」を実施。これは先日の「AIのエプロン〜料理に愛を、献立にAIを!?〜」にヒントを得て、峨家さんに了解を頂いて真似させて頂きました。峨家さん、ありがとうございます!
ドラえもんのイラストを皆さんにお見せし、「生成AI(Copilot)を使ってこのキャラクタのイラストを描いてみましょう」という課題を出します。
ただしその場で皆さんで実際に描くには、機器も時間も足りません。そこで、事例を紹介した上で、2〜4人程度のグループで相談し、できるだけ示されたドラえもんに似せた画像を描くプロンプト(絵を描くための指示)をワークシートに記入します。ただしもちろん、「ドラえもん」という直接の言葉は使わずに。
このワークシートはお預かりし、次回実際に画像化して皆さんにお渡しします。
ここで一旦休憩。
(3)AIと半導体
AI技術のためにはさらなる高性能の半導体が必要とされています。また一方で、半導体デバイスの設計・開発・製造のためにもAIの利用が不可欠です。現在、半導体産業で揺れる北海道において、ある意味で身近な問題である「AIと半導体」の関係について解説しました。
(4)振り返りチェックテスト
今回の最後に、受講者の皆さんに理解度を確認して頂くために、5問を3分で解答するミニテストを実施しました。
これはあくまで理解度を自分で確認するのが目的です。解答終了後は私から解答解説を行い、自己採点をして頂きますが、答案の提出や点数の集約などは行わず、そのままお持ち帰り頂きます。
同様な振り返り小テストは、2024/02/19のさっぽろ市民カレッジ2024冬期の文化・教養系講座「~つながるサイエンス~意外と知らない携帯電話と半導体の話」でも実施し大変好評でしたので、今回も実施しました。この度も皆さん、楽しんで頂けたようです。
この講座には一般市民約20名の皆さんが受講してくださっています。今回の受講アンケートを見ると、皆さんおおむね満足して頂けたようですが、多様な方々にご参加頂いているからこそ、振れ幅の大きな受け止め方をされているようで。私としても色々なことに気づかされる経験になっています。
なおこの講座の実施は、私としては共創テクノロジー社会教育研究プロジェクト(SiEdTeC)の一環としての取り組みです。




2024年06月25日(火) 第4講(最終回)テーマ 「AIを人間のパートナーに ~できること、できないこと、させたいこと~」
講演とグループワークを行いました。
今回はアシスタントとして木村ゼミの大学院生、安田さんと小向さんを連れて、3人で会場の札幌市生涯学習センター「ちえりあ」へ。
以下、木村教授より第4講のメニューについて解説です。
1.ドラえもんチャレンジの結果発表
前回実施したグループワークで「ドラえもんチャレンジ」、すなわちドラえもんのイラストを皆さんにお見せし、「ドラえもん」という直接の言葉は使わずに、生成AI(Copilot)でできるだけ似せた画像を描くためのプロンプト(絵を描くための指示)を考えてもらいました。
これを持ち帰って、私が代わりに皆さんが書いてくれたプロンプトをCopilotに入力し、画像を生成。それぞれ4つの画像が生成されるのですが、その内から私の主観で、一番それらしい、あるいは可愛いものを1つ選ばせて貰いました。
これを上質紙に印刷し、受講者全員にそれぞれの画像をお渡ししました。
今回の講演では、一番最初に皆さんの作品をプロジェクタで映して紹介しました。それぞれに可愛く個性があって、風情もあるキャラクタになっており、楽しんで頂けたようです。
このワークは峨家さんのアイディアを参考に致しました。峨家さん、改めてありがとうございました!



2.前回の振り返り
次いで今回の内容に入る準備として、前回の講演内容を簡単に復習。AIの活用事例、AI、機械学習、ディープラーニング、大規模言語モデルの基本、そしてAIと半導体の繋がりについて駆け足で振り返りました。


3.技術者、テクノロジーの社会的責任を考える
そして、AIと社会との関わりを考えるために、技術者とテクノロジーの倫理問題について、倫理とモラルと法、リスクマネージメント、セブン・ステップ・ガイド、学協会の倫理綱領、予防倫理と志向倫理、そしてアシモフのロボット三原則、2024年4月19日に経済産業省と総務省が公開したAI事業者ガイドラインについて解説しました。
ここで一旦、10分間の休憩。


4.AI活用のグループワーク
「AIを使ったサービス/製品提供を行う会社をつくる!」
そして今回のメインのワークとして、4〜5人のグループでそれぞれ、AIを使ったサービスや製品を提供する、会社/自治体(市町村)/法人組織/団体などをつくっていきます。
これまでユーザーの立場でAIとどのように付き合うかということは、皆さん結構考える機会があったかと思いますが、ここでは逆にAIを利用した製品やサービスを提供する側の立場になって考えてみましょう、という趣旨です。


これを次のようなステップで、時間を区切りながら進めていきます。
1.どのような組織で、どのようなサービスや製品を提供したいか、各自の考えをポストイットに書きましょう。(個人ワーク)
2.各自の考えを書いたポストイットをまとめ、グループとしての案を作りましょう。(何を提供する? 作る? 何の会社? 会社名は?)
3.「AI事業者ガイドライン」を参考に、皆さんの会社の事業をおこなう上で特に配慮、留意することを いくつか挙げてみましょう。
4.皆さんの会社の事業概要をまとめて書きましょう!
そして最後にグループごとに皆さんで前に出て、会社や組織の事業概要を大いに熱く発表して頂きました。
本当はここでお互いに質疑応答なども行いたかったのですが、時間が押してしまったのはちょっと残念。
5.質疑応答、アンケート
最後、もう時間がなくなってしまったので、1件だけですが質疑応答を。そして受講者の皆さんにアンケートに回答して頂き、無事全てを終了しました。
時間が押してしまったので、アンケートにご記入頂けた方は半分強くらいではありましたが、おおむね満足して頂けたようです。
責任を果たせてよかった!
また、私に取っても新たな大変得るものの多い経験ができました。
受講者の皆さん、帰山先生をはじめとするちえぼら社会・環境班の皆さん、ちえりあスタッフの皆さん、またアシスタントを務めてくれた学生両名、ありがとうございました。



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