鳥が電線で感電しない理由とは?感電するケースもある?

科学2024.05.21

この記事について

空を見上げると目に入ってくるのが、電線。
みなさんが知っているとおり、電線には電気が通っており、触れると大変危険です。


しかし、その電線にたくさんの鳥がとまっているのを見て、不思議だなと思うことはありませんか?
なぜ、鳥は感電しないのでしょうか?


今回は、鳥が電線にとまっていても感電しない理由について解説します。
そして実は、鳥も感電してしまうケースもあるので、それについてもお話ししますね。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 工学部 電気電子工学科

教授矢神 雅規Yagami Masaki電気機器工学 電力工学

専門は電力工学です。電力工学とは、電気をつくる「発電」から、電気を需要家まで届ける「送電」「変電」「配電」、電気を蓄える「蓄電」などを対象とする学問分野です。再生可能エネルギーや蓄電池などを利用して電気を安全かつ効率よく生産し、途切れることなく需用家へ届ける、すなわち環境にやさしく災害に強い電力インフラを構築して私たちの生活を持続的に支えることを目標に研究しています。
高校生のときはソーラーカーに興味がありました。自動車というよりは太陽光を利用する発電技術に興味があったので、電力工学を学ぶことができる大学に入学して発電設備のモデル化や特性解析の研究を行いました。また、電気は利用するものであって、需要家まで確実に届ける必要がありますから、大学院生のときから電力系統全体を対象とする制御技術の研究を続けています。電気をつくる技術と届ける技術の両面から再生可能エネルギーの利用促進を図っています。

鳥が電線で感電しない理由

鳥が電線で感電しない理由は、「電線が電気を通さないカバーで覆われているから」「1本の電線にしかとまっていないから」の2つです。

街中にあるほとんどの電線には、金属部分がむき出しにならないよう、電気を通さないカバーがかけてあります。
そのため、電線に止まった鳥の体に電気が流れることはないというのが、わかりやすい理由の一つです。

しかし、高い電圧が流れている高圧線の中にはむき出しになっている電線もありますよね。
実は、このむき出しの状態でも1本の電線にとまっている場合は感電しないんです!

理科の授業で、豆電球と導線、乾電池をつなぐ実験をしたことがある人は多いでしょう。
電気の通り道について調べる実験です。

この実験では、導線の両端を乾電池につなぐことで、豆電球と導線、乾電池が輪のようにつながって通り道ができ、電気が流れて豆電球の明かりがつきますよね。

水が高いところから低いところへ流れるように、電圧の高低差がある通り道ができることで電気が流れます。
鳥くらいの大きさであれば、電線につかまる両足にほぼ電圧の高低差が生まれないため、1本の電線にとまっている場合は、輪のような電気の通り道の一部にはなりません。

また、電線の電気が流れやすい(抵抗が小さい)性質も関係しています。
鳥よりも電線のほうに電気が通りやすいので、鳥には電気が流れづらく、感電はしません。

鳥が電線で感電してしまうケースもある!

電線にとまる2羽の鳥

基本的には電線で感電しない鳥ですが、感電してしまうケースもあります。

それは、鳥の片方の足や羽などの体の一部が、他の電線や地面に触れた場合です。

電線と鳥、他の電線や地面が輪になって電気の通り道ができ、電圧の高低差が生まれてしまうと、鳥も感電してしまいます。
人間の場合も、これと同じ原理で感電します。

私たちは、どこにも手や足をつけずに、電線1本に立つことはできません。
そのため、人間は電線に触れると感電してしまうのです。

切れた電線がぶら下がっていたり、凧上げで電線に凧が引っかかってしまったりしても、絶対に触らないようにしましょう。

鳥が電線で感電しない理由は電気の性質が関係している!

電線にとまっていても鳥が感電しない理由は、「電線が電気を通さないカバーで覆われているから」と「1本の電線にしかとまっていないから」です。

電気は、輪のようにつながって通り道ができ、電圧の高低差があると流れる性質があるため、通り道がつくられない状態であれば電気が流れず、感電することはありません。

ただし、他の電線に触れたり、体の一部が地面などに触れてしまったりした場合は、電気の通り道になってしまいます。
このような状態になると、鳥でも感電してしまうことがあるんですよ。

人間は手や足を地面につけずに電線に立つことはできないので、感電は避けられません。
そのため、電線には絶対に触らないようにしてくださいね。

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