テレビの「4K」「8K」とは?それぞれの違いを解説!

テクノロジー2024.04.08

この記事について

近年、テレビのディスプレイパネルの研究開発が進み、より高画質で映像を楽しむことができるようになっています。


家電量販店やショッピングサイトのテレビに関する説明文に「4K」や「8K」といった単語が並ぶことも珍しくなくなりました。
テレビの買い替え時に「そもそも4K・8Kってなんだろう?」「どのような違いがあるのだろう?」と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。


そこで今回はテレビにおける「4K」や「8K」が示す意味、それぞれの違いや特徴を詳しくご紹介します。

このコラムは、私が監修しました!

北海道科学大学 未来デザイン学部 メディアデザイン学科

教授倉本 浩平Kuramoto Koheiブランディング デジタルコンテンツ 映像

私が小さい頃から住んでいた町には、レンタルビデオ屋(当時はVHS)が1軒だけありました。自然あふれる町ではありましたが、それ以外に楽しみがあまりなく、高校生になる頃には週に1度はそこに通い、映画をレンタルして鑑賞するようになりました。
当時の私は、洋画がとても好きで、小さな町から映画の中の見たこともない広い世界に飛び出すことを夢みていました。その後、大学生になったときに自ら映画を撮ってみたくなり、仲間を募りましたが誰も詳しい者はなく、手探りのなか皆で1本の作品をつくりあげたのを憶えています。
この経験が大きな転機となり、その後、札幌国際短編映画祭に運営委員として加わり、市内のクリエイティブ企業に入社し、札幌市クリエイティブ支援センターの企画・運営にも携わるようになりました。
現在は、映像・デザインの企画制作や、映画撮影のコーディネートを手がける会社を設立し、札幌国際短編映画祭のプロデューサーをしながら、本学にて地域の課題をクリエイティブで解決するための研究をしています。
研究の一環として、学生たちと小樽市x北海道中央バスや、札幌市西区50周年記念のショートフィルムを制作したり、猿払村、札幌市手稲区の記念ロゴマークをデザインしました。

4K・8Kとは?

まず、「4K」や「8K」といった名称は、画面に表示される映像の横方向の画素数に由来しており、画面解像度のことを指しています。
※画素=デジタル画像を構成する色の1粒のこと。ピクセルと呼ばれる

画素数の横方向のサイズを基準に、横約4,000×縦約2,000の規格を「4K」、横約8,000×縦約4,000の規格を「8K」と呼んでいます。
「8K」の方が「4K」より約2倍も画素数が多いため、解像度が高いです。

解像度とは、画面上の縦方向・横方向に敷き詰められた画素の量を示しており、高くなるほど色の表現が増え、より細部まで映像を出力することが可能になります。

正確には以下のように画素数の違いがあり、フルハイビジョン(Full HD:1,920x1,080)の画素数の映像は、テレビの画面サイズが大きくなると荒く見えてしまいますが、「4K」「8K」であれば100型を超える画面サイズでも鮮明に映し出すことが可能です。

  • 4K:総画素数 829万4400画素(3,840×2,160)
  • 8K:総画素数 3,317万7600画素(7,680×4,320)

現在主流になっているフルハイビジョン(2K)放送も、「4K」「8K」相当の高解像度映像に変換する超解像技術により、鮮明に見ることができます。

この「4K」「8K」の技術は、テレビ放送だけでなく手術の際に拡大した手元をモニターに映すために用いられるなど、医療の現場でも活躍しています。


では、次でさらに詳しく「4K」「8K」の違いを見ていきましょう。

4K・8K・フルハイビジョン(Full HD)の違いを詳しく解説!

テレビの解像度の比較イメージ

「4K」「8K」についてお伝えしたところで、「フルハイビジョン(Full HD)」についてと、「4K」「8K」の違いを詳しくご説明します。

「フルハイビジョン」は総画素数 207万3600画素(1,920×1,080)で構成される解像度であり、ちょうど「4K」の半分ほどです。


「4K」「8K」で表現される映像の解像感の高さについては前述の通りですが、「フルハイビジョン」の映像もまだ目にする機会が多く、地上波デジタル放送やBlu-rayディスクに記録された映像、YouTubeなどのインターネット上の高画質な動画などは「フルハイビジョン」であることが多いです。

そのため従来のフルハイビジョンでも十分に楽しめますが、「4K」「8K」は共に表現可能な広色域化(色の範囲)や、多階調表現(明るさの濃淡を示す値)も拡大しており、地上波デジタル放送のフルハイビジョン映像が1,600万階調のところ「4K」・「8K」放送では10億階調となっているなど、より実物に近い色彩を感じることが可能です。

大きな画面でもより鮮やかな色彩・高精細な美しい映像を求めるのであれば、「4K」「8K」のテレビを選ぶと良いでしょう。

「4K」「8K」の違いをさらに詳しく

解像度は数値が高いほど映像が緻密になるため、「8K」は「4K」の4倍・フルハイビジョンの16倍となり、鮮明度の差がかなり大きいことが伺えますね。

さらに、映像は、静止画の集まりであり、目の錯覚を利用して動いているように見せています。
この静止画を1秒間あたりに何枚使用するのかを表したものを「フレーム数」といいます。
フレーム数が多くなるほど、映像の動きをより滑らかに感じることができます。

「8K」放送では、このフレーム数が1秒間あたり最大120枚、「4K」放送では60枚、地上波デジタル放送のフルハイビジョン映像では30枚ですので、スポーツ観戦をしていても
動きのブレが少なく、リアルな臨場感を味わうことができます。

「4K」と「8K」対応の放送は?現在の普及と今後の予測

4kと8kのイメージ

現在は、「4K」「8K」対応テレビやディスプレイの価格が大きく下がったことで急速な広がりを見せており、より身近な存在になってきています。

テレビやインターネット動画配信サービス各社の「4K」「8K」対応も進んでおり、2018年からは「新4K8K衛星放送」も開始され、注目されています。

そのほか現在提供されている「4K」コンテンツには以下のようなサービスがあります。

  • 124/128度CS放送(スカパー!プレミアムサービス)
  • ケーブルテレビ・配信(ケーブル4K、ひかりTV4Kなど)
  • インターネット動画(Netflix、Amazonプライム・ビデオ、Hulu、YouTubeなど)

現在総務省が舵をとり、2025年までに普及を進めるための「4K・8K推進のためのロードマップ」を作成し、「4K」以上の高精細コンテンツを視聴できるようにする方向に動いています。

また、「8K」はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの新しいテクノロジーにも適しており、開発が進められています。

今後もディスプレイ技術や放送サービスの技術革新により、より美しい映像を体験できる機会が増えていくことでしょう。

人間の視力と「8K」「4K」について

価格が大きく下がったことで、テレビやゲームなどに利用するディスプレイとして、「4K」さらには「8K」などの解像度も手軽な選択肢の一つになりつつあります。
しかし、果たして人間の目にはどこまで高解像度が必要なのでしょうか?

結論から言いますと、非常に大きなディスプレイに、人間が近づいて映像などを見る場合に、高解像度の恩恵を受けることができます。
人間が解像度の違いを感じるためには、ディスプレイのサイズ、視聴する位置からディスプレイまでの距離が関係します。
豪邸にあるような特大サイズのTVを至近距離で視聴すれば違いを感じることができますが、一人暮らし用のミニサイズのTVを少し離れてみる場合には、実はほぼ違いはわかりません。

視力検査などで用いられる2.0や、0.7などの数字で、1.0である状態を正常視力と呼びます。
この状態は、自分の腕を伸ばして親指で「いいね!」をした際に、その親指の横幅に120個の点を認識できます。腕を伸ばした距離より離れたり、120個以上の点となると点と点がつながって線のように認識してしまいます。

これをディスプレイの解像度にあてはめてみると、約70インチのディスプレイを約1.5mの距離から見て認識できる解像度は4Kまでとなります。
8Kを堪能したいとなると、ディスプレイの画面60cmまで超接近しなくてはいけません。

もちろんながらに海外のように大きなお家や、広いオフィスなどではその恩恵に預かることはできるかもしれませんが、敷地面積が小さい日本の家屋事情からすると、巨大なディスプレイを室内に置くには空間が足りず、小さいディスプレイを置いて距離を空けて視聴すると解像度の違いを実は認識できないことになってしまい、非常に歯がゆい思いをすることになります。

一人暮らしで借りるようなワンルームタイプのお家では、窓からの日光や、ふかふかのベッド、友達とくつろぐためのダイニングテーブルなど、あらゆる生活用品を犠牲にしないかぎり、8Kディスプレイはまだまだ必要ないのかもしれません。

興味のある方は、ぜひ違いをチェックしに行ってみてくださいね!

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