COOPERATION

研究紹介

研究・産学連携

アレルギー時に誘発される心筋虚血に対して新規治療薬を探索する

加納 誠一朗 教授薬理学 機能形態学 病態生理学

【基礎研究】 

医薬品の処置により誘発されるアナフィラキシーによって心肺停止が起きたケースでは医薬品処置後平均5分程で、食事性の30分や蜂毒の15分に比べて非常に短く、より早期対応が求められる。アナフィラキシー発症時に冠攣縮に伴う心筋虚血が誘発されるKounis症候群では、心筋虚血に伴う刺激伝導系の異常や重篤な不整脈の誘発が、心肺停止の一要因と考えられ、現在その有効な治療法は確立していない。その原因には、アナフィラキシーの対処薬であるアドレナリン処置は、血圧や呼吸状態は改善するものの、心筋の酸素需要の増大を伴い虚血を悪化させる。仮に心筋虚血改善目的に冠拡張薬を投与すると血圧低下を引き起こし、アナフィラキシー時の全身循環の更なる悪化を引き起こす。

これらのジレンマを解決するために、Kounis症候群の発症メカニズムの解明と併せて、アドレナリン処置時でも心筋虚血や全身循環を悪化させない薬物について探索する。この研究の遂行により、将来的には新しいカテゴリーの虚血性心疾患の治療薬への発展させることを目指しています。

【教育研究】

授業の多くはペーパーベースの講義資料に基づく座学により教示されている。人体の構造と生理反応の理解にはペーパーベースで独立して学んだ器官系が、どのように連携して生体の恒常性を維持や疾病に関わる変化を具体的に理解するのには相当な時間を要とする。人体の全体像から器官の存在場所を、模型や立体画像と映像を関連付けて、薬学生が把握すべき生理反応や薬理作用が現れる仕組みを関連付けられる教示方法を目指しています。

加納 誠一朗 教授

  • 学位/博士(薬学)
  • 研究分野/【基礎研究】循環薬理、生体機能解析
    【教育研究】
    シミュレーション医療教育(バイタルサイン、フィジカルアセスメント)
  • 研究テーマ/・刺激伝導系の異常に関わるタンパク質の免疫蛍光検出によるアナフィラキシー誘発時の心筋虚血発症部位を特定する
    ・アナフィラキシー誘発時の心筋虚血発症部位における機能タンパク分子種の変化より、心筋虚血を改善する新しい治療のターゲットを探索する
    ・心電図波形の電気信号の経時変化と心機能との相互解析によりアナフィラキシー時の心筋虚血増悪部位を特定する