マクロファージの多様性を理解する!

炎症というと「発熱」や「痛み」が連想されて、あまり良いイメージはないかもしれません。しかし本来炎症は、我々の身体を病原体から守るために必要な反応です。一方で炎症は厳密に制御されないと、関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの様々な病気を招くことも事実です。そのため我々の体内で炎症はどのように制御されるか理解する必要があります。
炎症反応の制御ではマクロファージと呼ばれる細胞が重要な役割を担います。私はマクロファージによる炎症反応の制御に興味をもっています。マクロファージに発現しているタンパク質には、炎症反応に関わることが予想されるものの、実際に炎症反応にどのような影響を与えるのか不明なタンパク質が存在します。私はこうしたタンパク質を見つけ、マクロファージによる炎症制御に与える影響を明らかにすることを目指しています。
また最近では、マクロファージは炎症だけではなく、他の細胞の機能を制御することも分かってきました。脂肪細胞は、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病に深く関わる細胞で、マクロファージによる制御を受けることが知られています。そして、マクロファージと脂肪細胞の橋渡しを行うタンパク質が存在しますが、その全貌は未だ明らかになっていません。私は、マクロファージと脂肪細胞を結びつける新しいシグナル分子を発見して、その役割を明らかにすることを目指しています。
太田 紘也 講師
- 学位/博士(薬学)
- 研究分野/分子生物学、免疫学、内分泌学、薬学教育学
- 研究テーマ/1. マクロファージによる炎症制御における膜タンパク質PGRMCsの役割
2. BONCAT法によるマクロファージ-脂肪細胞連関を制御するマクロファー
ジ由来分泌性因子の同定と解析