必要不可欠!だからこそ道路は面白い!
私たちの生活に欠かせない道路や橋、トンネルなどの土木構造物・建設業の仕事はこれらを作るだけでなく、災害が頻発する我が国において人々の暮らしや安全を守り、地域の発展や環境の改善にも貢献する、社会的な意義の高い仕事なのです。たとえば、道路や橋が安全であることで人や物が行き来でき、水道や下水道が適切に機能することで清潔な生活を支えます。このように、建設業は国の重要な社会基盤を支え、人々の生活を守るために必要不可欠な基幹産業です。
その中でも『道路』は特に重要で、家から一歩外に出れば誰しもが必ず使う最も身近な構造物です。我が国には120万km以上の道路があり、それは地球から月までの1.5往復分、地球30周分以上になります。この延長は世界6位で、日本より上は、米国、インド、中国、ブラジル、ロシアと何れも日本より圧倒的に広い国土を有しています。とりわけ、日本以上の国土面積を有している国の道路密度(道路総延長を国土面積で除したもの)は、日本は世界1位になります。それだけ、日本人の生活にとって『道路』は必要不可欠なものなのです。
道路の多くには舗装が整備されており、その9割がアスファルトを用いた舗装です。舗装率の上位10都道府県は何れも西日本で、逆に下位は北日本に集中しています・特に北海道は46位です。この理由は、舗装率は年間平均気温と正の相関があり、気温が高い地域では舗装率が高く、逆に気温が低い地域では舗装率が低いためです・寒冷地ではアスファルト内の水分が凍結して脆くなったり、土の中の水分が凍結して路面が上昇したりしてアスファルトが傷みやすいです。さらに、道路が雪に覆われる冬は道路工事が難しく、温暖地よりも施工や維持にコストがかかるため舗装率が低いと考えられます。加えて、アスファルトは非常に感温性が高い材料で、寒いと硬くなるため亀裂(ひび割れ)が入りやすくなります。そこから雨水が浸入し凍結膨張を繰り返すことで穴(ポットホール)ができ、快適な車両走行ができなくなってしまいます。
生活に必要不可欠な『道路(舗装)』ですが、寒い地域では非常に難しいものです。しかし、北海道で通用する舗装技術ならば全国で使用できる技術となります。
私たち舗装研究室では、“舗装は北海道から!”を合言葉に、寒冷地向けの材料だけでなく、施工や維持管理に関する研究にも取り組んでいます。
『道路(舗装)』には、有って当たり前と思われているからこその難しさはありますが、無くてはならないものだからこそのやりがいがあります!
中村 博康 准教授
- 学位/博士(工学)
- 研究分野/土木工学、舗装工学
- 研究テーマ/舗装の非破壊調査・診断、積雪寒冷地における舗装の材料・施工に関する研究