COOPERATION

研究紹介

研究・産学連携

アレルギー疾患の新たな予防・治療物質の同定

柏倉 淳一 教授免疫学 膠原病 アレルギー内科学

アレルギーとは外来抗原の排除を行う免疫システムが暴走した結果、生体に様々な不利益反応を引き起こす疾患です。
現在、日本人の2人に1人は何らかのアレルギー(花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息)を持っています。

アレルギーの歴史を遡ると、紀元前にはすでにアナフィラキシー反応の記載があるくらい古くから知られている免疫反応です。
その語源はギリシャ語の「allos(変わった)」と「ergon(反応)」が組み合わさったものです。
長らくこの反応の原因物質は不明でありましたが、1966年、二人の日本人(石坂公成博士、石坂照子博士)により、その原因がレアギン(現在のIgE)であることがわかりました。この発見以降、アレルギーにおけるIgEの機能的役割が飛躍的に解明されたのです。

我々の研究室ではアレルギー疾患のうち、食物アレルギーを疾患対象の中心とし、現在、研究を行っています。
食物アレルギーは食物抗原により引き起こされる免疫学的機序を介したアレルギー反応であり、死に至る危険な反応です。
食物アレルギーの作用機序解明や新たな抑制物質の発見は、国民全体の利益につながることは言うまでもありません。
我々は以前に、血中に少ししか存在しない「好塩基球」が食物アレルギー反応を引き起こすのに重要な免疫細胞であることを報告しました。すなわち、好塩基球の機能を抑制できれば、食物アレルギー発症予防につながる可能性があるということです。特に、日ごろから摂取できるような物質を使えれば、食物アレルギーに苦しむ方々の「生活の質の向上」にもつながります。

現在は食品に含まれる様々な物質が果たして好塩基球の機能を抑制し、食物アレルギー予防につながるかについて研究を進めています。また、一部の物質は腸内細菌叢に影響を与えることがわかっているので、それらが産生する物質が好塩基球の機能や食物アレルギー反応に対して抑制機能をもつかどうかについても検討しています。

これらの研究を基盤として、我々の研究室では新規食物アレルギー予防物質の同定や治療薬の開発を目指しています。

柏倉 淳一 教授

  • 学位/博士(薬学)
  • 研究分野/免疫学・アレルギー学