CASE01
「ここだからできるをつくる」 スローじゃなく挑戦するライフを。
株式会社EFC 代表取締役
志水 陽平さん
上川町について
北海道中央部、上川総合振興局に位置する。層雲峡温泉をはじめとした観光と、農業・林業などの暮らしが身近に共存するまち。
公務員から方向転換、 日本縦断にチャレンジ
もともとは公務員として地元の旭川に配属になり、自然環境に関する仕事を担当していました。デスクワークに加えて山に登る日々で、上司や同僚にも恵まれて、楽しんで働いていました。でもある時、もっと広い視野で上川というエリアと関わりたい、と感じるようになりました。“地元で宿をやってみたい”と思ってきたのもあり、3年働いて思い切って退職しました。そして、全国の宿を見たり、泊まるということを知るために自転車で日本縦断に出かけました。約9ヶ月かけて国内を回って、公園にテントを張って寝たり、色々なスタイルの宿に泊まったり、時にはゲストハウスで働かせてもらったり。明確な行き先がないのは怖くもありましたが、予定も決めずにきままに旅をして、本当に楽しい時間でしたね。無事に旭川に帰った後は、ご縁があり、ゲストハウスのマネージャーをさせてもらうことに。それが「場づくり」を仕事にするきっかけになりました。ちなみに地元で働こうと思ったのは、人生で特に楽しかった高校時代を過ごしたのが、この場所だったから。友達がいるまちに住みたい、という気持ちがずっとあるんですよね。
沖縄でゴールを迎えたときの1枚。効率とは真逆の自転車旅だったけれど、得たものも数えきれないほどありました。
途中に北アルプスの山小屋でも働かせてもらいました。この時の経験が今になっても活きていると心から思います。
上川町という場所で 「ここだからできるをつくる」
私が代表をしている株式会社EFCでは、今3つの宿泊施設を運営しています。最初にはじめた「層雲峡ホステル」、上川町の民宿「岡田屋」、そして泊まれる複合施設である「ANSHINDO」。他にも自治体と連携して、かつて銀行だった建物をリノベーションし、コワーキングスペース兼まちの交流拠点として利用できる「PORTO(ポルト)」の運営も行っています。会社のスローガンは「ここだからできるをつくる」。ローカルでは、つい“ないもの”に目がいきがちです。でも、今いる人が知恵を出し合って工夫すれば、できることはたくさんある。前向きに、上川町だからこそできることを、地域と一緒に作っていきたい。そんな思いでやっています。よく言われるのが、「地域で働くのはスローライフでいいね」。実際は、全然スローじゃないんです(笑)。人は少ないし、考えること、やることは山ほどある。手探りで自分たちの理想を目指して進めているので、のんびりではいられません。ローカルでは自分たちで環境をつくる必要があるので、受け身な方だとギャップが出るかもしれませんね。その分、挑戦しやすい環境でもあります。自分でビジネスをはじめたい人には、かなりおすすめです。
仕事だけの関係ではなく、 人と人の距離が近い
この地域の特徴は、人と人の関わりにも表れている気がします。例えば都市部だと、仕事が終われば職場の人とは予定がなければ会わないですよね。私たちの住む上川町だと買い物に寄ったスーパーで会ったりするし、飲み屋は数軒しかないから、そこでまた会って、立場を越えて仕事の愚痴を言い合ったり(笑)。仕事と日常が地続きで、自然と人間関係が深まっていきます。ここで働く面白さって、そうした「距離の近さ」にあると感じます。人との距離が近いからこそ、困った時には頼られるし、自分も何かあったら頼れる。そういう関係を築けると、仕事も暮らしもずっと豊かになるんですよね。もちろん、距離が近いぶん、難しいこともあります。同じ職場の仲間に、厳しいことを言いにくくなる瞬間もあったりで。割り切って、伝えるべきことをちゃんと伝えることが大事だと学びました。どこで働いていても同じだと思いますが、人と接するうえで一番大切なのは“誠実であること”。上川という地域で過ごすなかで、それを強く実感しました。
機嫌良く、一生懸命。が 「ありがとう」への第一歩
地域で「ありがとう」と言ってもらうためには、あんまり「誰かのために」を考えすぎない方がいいかもしれません。頑張りすぎると、うまくいかない時に、人のせいにしたくなることもある。それよりも、自分が好きなことを楽しくやっていれば、意外とそれが誰かのためになっていると思うんです。私もインターンに来た学生には、「ご機嫌に働いて、いっぱいメシ食ってくれれば、それが一番」と伝えています。機嫌良く、一生懸命やりたいことに打ち込むのが、地域を元気にするまず第一歩じゃないでしょうか。私たちは今、上川町の空き家を活用した宿づくりや、地域の人材不足を支える仕組みづくりに取り組んでます。地域には課題も多いからこそ、解決できる人材や取り組みは、常に求められています。北海道科学大学の地域創造学部は、学生のうちから地域に飛び込んで学べる。そう聞いて、「幸せな環境」だと思いました。私自身、学生の頃は「遠くに行かないと世界は広がらない」と思っていましたが、実際は北海道の中で、隣町に行くだけでも大きな経験ができるものです。興味を持った人は、ぜひ一歩踏み出してみてください。そして上川に来たときは、ぜひいっぱいご飯を食べて、機嫌よく、いろんなことに挑戦してくれたら最高です。
profile
志水 陽平(しみず・ようへい)
北海道旭川市出身。北海道職員を経て、上川町を拠点に過疎地域の課題を共創によって解決するローカルベンチャー株式会社EFCの代表取締役。
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