医療工学部

創部の趣旨

近年の医療・福祉は、医師を中心として薬剤師、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士そして義肢装具士など多くの医療スタッフの協働によるチーム医療が基本となっています。本学では、これらの一翼を担う医療技術者の育成を医療福祉工学科で実践してきました。

しかし、教育研究体系が工学と医学の学際領域となるため、従来の工学部に設置されている学科に比べ必要な授業科目数・授業時間数、病院における実習の必要性など異なる部分が多くあります。これらの相違点を克服し、さらなる教育の充実と特色ある教育の実践を通し、社会の要請に応え得る人材のより効果的な育成が可能とするため、医療工学部を開設しました。

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

医療・福祉活動は、チーム医療又はチーム介護と呼ばれる、医師を含めた様々なメディカルスタッフと介護スタッフが一致協力して患者や利用者の診療・介護にあたる形態が基本となっています。このような背景から将来の医療スタッフには、各専門領域を基本としつつチームとして行動できる高度の問題解決能力を有する医療技術者の必要性が提起され、これを受けて昭和62年臨床工学技士法が、又翌年義肢装具士法が施行されました。医療工学部は、将来の我が国におけるチーム医療を支える医療技術者の育成をその使命としています。特に本学において、開学以来40年に渡って培われた機械工学や電子工学に関する研究教育の知的資源を最大限に活用し、新たな医工学連携教育を遂行することを目的として、(1)「医療専門職としての技術教育(specialist)」(2)「様々な問題解決能力を醸成する教育(generalist)」(3)「社会や地球環境に対する認識と理解」を教育の基本軸として捉え、基本軸(1)又は(2)に重点を置いた教育課程を編成しています。すなわち、卒業生のキャリア形成にあたって、医療免許取得を前提とし、その上でより高度の職業人(generalist) の育成に主眼を置いています。加えて、4年制大学としての特性を勘案して、将来指導的な立場で活躍するために必要と考えられる汎用的な工学知識を教授できる体制を整えることで、職能を越えた高度専門職業人(specialist)の育成を主眼とした高度の専門技術教育を重視して教育課程を編成・実施しています。

上記の使命を達成するための学部における教育指針は、次の5項目です。

  1. 医療技術者(医療人)として必要な専門領域の知識とスキルを獲得する
  2. 自ら学習する能力(学習力)を身につける
  3. 自分の得意分野を見出す
  4. 自らの専門能力を高め、深め、拡げる
  5. チーム医療・福祉を支える知識とスキルを獲得する

すなわち、「知識や技能の集積」のみでなく、基礎となる知識やツール、スキルを総合して「独自の発想で課題を解決する能力の体得」を目標として設定し、科目区分を修学基礎教育科目、外国語教育科目、専門基礎教育科目、専門教育科目に分類したカリキュラムを実施しています。又、教育・学習における目標構造と科目区分との関係を下図のように考えています。

医療工学部

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

医療工学部では、医療福祉工学科と義肢装具学科のカリキュラムに基づく以下の学修成果(※)が認められ、所定の単位を修得した学生には卒業時に医療福祉工学科卒業生には「学士(医療福祉工学)」、義肢装具学科卒業生には、「学士(義肢装具学)」の学位が授与されます。

1.知識・理解能力

電気工学ならびに電子工学・情報工学・機械工学などの基礎に加えて人体生理学を中心とした基礎医学領域に関する基本的な事物、現象、概念、法則、理論及び総合的な医学倫理について正確な知識を持ち、工学と医学に跨る学際領域の知識を関連付けて体系的に理解できる能力、特に得意とする専門分野においてはそれらの知識を疾患の診断・治療・評価などにまで拡張して理解できる能力を獲得している。

2.技能・応用能力

医療工学部では、医療福祉工学科と義肢装具学科それぞれの分野における基礎的な分析・解析課題とこれを応用した診断・病態理解、義肢装具設計・構成課題などを履修する中で修得した知識群を適用しながら状況に見合う方針を導き出すための一連の技能と思考力、得意とする専門分野においては、疾患に関与する工学的アプローチを創案できる能力、すなわち、循環器・泌尿器・整形外科領域などの臨床と医療機器を中心とした工学技術を連合して課題解決を導き出すための技能と思考力、及び適用・応用した方法や成果の有効性を説明できる表現能力を修得している。

3.主体性・責任能力

チーム医療における各自の役割・責任を的確に理解し、時々の学習の場面、業務の場面においてその役割・責任を果たすため、修得した知識や技術を病院などの臨床施設だけでなく、医療機器メーカー、医療福祉施設などとの関わりの中で主体的に役立てていく能力、及び自主的な学習・討論を通して自ら及びグループの問題発見能力や問題解決能力を検証・強化していく姿勢を身につけている。

(注1)学修成果:小・中・高等学校用の学習指導要領における目標群及び「生涯学習のための欧州資格枠組み(European Qualifications Framework for Lifelong Learning:EQF)-水準記述子セット(a set of descriptors defining levels)」を援用し、初等中等教育、大学院以降の学修との関連性に配慮しながら、本学及び学科の基本姿勢に則り、学修成果の範囲と水準を規定したものである。